125自治体で「手話言語条例」、未就学児の手話支援や手話語の授業

最終更新日:2018年11月18日

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言語聴覚士コラム

125自治体で「手話言語条例」、未就学児の手話支援や手話語の授業

2018.02.23

近年、「手話言語条例」を制定する動きが全国の自治体に広がっている。手話を一つの言語として広く使える社会を目指そうというもので、同条例に基づいた啓発・普及活動も全国各地で行われている。

大阪府では、昨年3月にこの「手話言語条例」が施行された。同条例に基づき、未就学児を対象にした手話獲得支援事業「こめっこ」の今年1回目が、1月20日、大阪市中央区の府立施設の一室で開かれた。

「交流する」の英単語の頭文字などをとって名付けた同事業は、未就学の子供の頃から手話に慣れ親しんでもらおうと昨年6月から隔週で開催されている。この日は、約40人の子供たちが参加し、雪だるまの絵本の読み聞かせを行うスタッフを熱心に見つめていた。

聴覚障害のある未就学児対象事業「こめっこ」で手話に親しみ、習得を

「こめっこ」の読み聞かせでは、聴覚障害のあるスタッフが絵本の内容をすべて手話で伝える。滋賀県や兵庫県など遠方からも参加する子供たちは、その大半が聴覚障害を持ち、絵とスタッフの手の動きを交互に見ながら、手話にも触れ合えるという手話取得支援がコンセプトの取り組みだ。

大阪聴力手話獲得支援障害者協会(大阪府大阪市)が企画協力して、これまでに計14回開催され、毎回30組前後の親子が参加してきた。その盛況ぶりから、他自治体からも実施内容などについて問い合わせや視察が相次ぎ、今年2月には九州の特別支援学校の関係者も訪れる予定だ。

高校の選択科目に「手話語」「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」を開催

日本では、2011年に改正障害者基本法が施行、初めて手話が言語として明文化された。同条例も手話は言語であるとして、手話を使いやすい環境整備、そして学習推進を掲げている。

全日本ろうあ連盟(東京都新宿区)によると、2013年では2自治体のみだったが、今年は125自治体まで拡大してきた(2018年1月16日時点)。

2013年に市町村で初めて同条例を制定した北海道石狩市では、市内の高校で、今年度から2年生の選択科目に「手話語」を導入

従来の学校現場では、「手話は、音声言語としての日本語を補助する手段とするもの」という考えが根強かったが、2006年に国連採択の障害者権利条約で手話は独立した体系を持つ「言語」と認められ、2011年に改正障害者基本法が施行されたこともあり、その風向きは大きく変わってきている。

同市では、一般市民を対象に手話出前講座なども開講し、昨年度の受講人数は4.480人に上った。

同じく2013年に、全国初の手話言語条例を制定した鳥取県は、県内の全小中学校、高校、特別支援学校に手話を学べるハンドブックを配布。2014年からは高校生が手話でコントや落語、演劇などを披露する「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」を開催している。

さらなる自治体への広がり、手話言語法の制定手話を

厚生労働省によると、障害者手帳を持っている聴覚障害者は全国に約24万人と推定されている。

これまで手話を言語として体系的に学ぶ機会がほとんどなかった未就学児を対象にして、大阪府のように行政が場を設け、継続的に続ける意義は極めて大きいという声も上がっている。

一方で、一部の自治体だけでなく、各自治体でも同様の取り組みを広げていくことが求められることや、条例を制定しても、啓発チラシの発行・啓発イベントなど、一過性の活動だけで終わらないようにすることなどが課題に挙がっている。

「こめっこ」は先進的な取り組みとされるが、聴覚障害者の団体などは、同事業のような手話を言語として学び、使っていく「環境整備」をより強力に進められるよう手話言語法の制定を目指す動きも始まっている。

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