成長期の『咀嚼刺激』の低下、記憶・学習機能障害を誘発

最終更新日:2018年11月18日

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言語聴覚士コラム

成長期の『咀嚼刺激』の低下、記憶・学習機能障害を誘発

2017.08.02

健康な食事では「一口で30回以上噛む」などと言われるように、食事中には『よく噛むこと(咀嚼回数の多さ)』が大事だとされる。しかし、柔らかく栄養価の高い様々な種類の加工食品などが普及したことによって、現代人の咀嚼回数は劇的に減少しているようだ。

東京医科歯科大学では6月13日、中島友紀氏(同大大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学分野教授)らと、和氣弘明氏(神戸大学医学研究科システム生理学分野教授)との共同研究によって、成長期における咀嚼刺激の低下は記憶を司る海馬の神経細胞に変化をもたらし、記憶・学習機能障害を引き起こすと発表した。 

同研究成果は、国際科学誌「Journal of Dental Research」(電子版)で発表された。

咀嚼機能低下に伴う脳機能低下や脳機能障害が問題に

世界的にも高齢化が進行している現代において、加齢に伴う咀嚼機能の低下、それに伴う脳機能の低下は一つの問題となっている。

また、成長期にこの咀嚼回数が低下してしまうと、顎の骨や噛むための筋肉 (咀嚼筋)に加えて、脳の発達にも悪影響を及ぼすとされており、さらに加齢に伴い歯を失い、咀嚼機能が低下すると認知症リスクが高まることも分かってきた。

一方で、これらの咀嚼機能と高次脳機能の関係は未解明な点が多く、成長期における記憶・学習機能などの「脳機能の障害」の予防を目的として、咀嚼機能と脳機能がどのような関係なのかのメカニズム解明は課題となっている。

成長期の咀嚼刺激が低下すると、記憶・学習機能も顕著に障害

今回、研究グループでは、マウスに粉末飼料を与え続けて(離乳期から成長期の間)、マウスの咀嚼刺激を低下させるモデル解析を実施した。その結果、粉末飼料を与えた続けたマウスでは、通常の固形飼料を与えたマウス(対照群)と比べ、顎顔面の骨や噛むための筋肉の成長が抑制されてり、さらに記憶・学習機能も顕著に障害されていたことが分かったという。

また、このマウスの海馬(記憶・学習を司る脳領域)を解析した結果、神経活動やシナプス形成、脳由来神経栄養因子 (BDNF)の発現が低下しており、神経細胞が減少していることも明らかになった。

これらをまとめて、同研究グループでは、成長期に咀嚼刺激が低下することで、顎骨や咀嚼筋の成長が抑制され、記憶・学習機能が障害される可能性が示唆されたとしている。

記憶・学習機能障害の治療法や認知症予防法の確立に期待

今回の研究成果から、記憶・学習機能障害や認知症の予防のためには、咀嚼機能の維持・強化が有効であることも示唆される。

今後は、ヒトを対象とした研究を含め咀嚼機能と脳機能を結びつける分子メカニズムがさらに詳細に解明されることで、記憶・学習機能障害や認知症の新たな治療法・予防法の確立にもつながることが期待されそうだ。

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