日本人は会話での視覚情報からの影響を受けにくい

最終更新日:2018年11月16日

Select Language >>

0120-978-003
月~土 9時~18時 / 夜間・日・祝は受付のみ
言語聴覚士コラム

日本人は会話での視覚情報からの影響を受けにくい

2016.10.24

ヒト同士が会話をする時、会話の内容は聴覚から情報として取り入れられ脳内で処理されるというのが一般的な認識ではないだろうか。しかし、一方で「読唇術(どくしんじゅつ)]という唇の動きから会話の相手の話している内容を読み取る場合(聴覚障害者の読話も含む)は、口の動きを視覚情報として脳内で認識している

このように話を聴く際に、「口の動き」から視覚情報として取り入れた情報は、脳内で耳から聴こえる聴覚情報とどのように統合されているのかを熊本大学などの研究グループが調べている。

その中で、積山薫教授(同大学文学部認知心理学研究室)と篠崎淳助教(札幌医科大学医学部神経科学講座)、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)などの共同グループでは、これらの会話の情報処理プロセスにおいて、日本人と欧米人では異なる脳内メカニズムを新たに発見した。

同研究成果は、8月11日付けの英オープン・アクセス・ジャーナル「Scientific Reports」に掲載されている。

「日本語母語者」と「英語母語者」では会話の情報処理プロセスに違い

会話の相手の話を聴く際には、ヒトの脳内ネットワークでは活性化が起こっており、会話の内容についての情報処理が行われる。

今回の研究メンバーである積山教授らの過去の研究によって、日本語母語者と英語母語者の会話の情報処理プロセスは異なっており、日本語母語者は英語母語者ほど視覚情報の影響を受けていないことが判明していた。

会話の際の視覚情報とは、つまり「口の動き」である。英語母語者では、この「口の動き」を見たことによる視覚情報が、耳から音声を聴くこと(聴覚情報)にも影響を与え、視聴覚統合が生じるという。

英語母語者は「口の動き」も重視し、会話を視聴覚連携で処理

同研究グループでは、fMRIを活用した脳活動の計測を行っている。(対象者は、日本語母語者と英語母語者(留学生)の大学生各約20名)

その結果、英語母語者は、MT野(視覚野)と一次聴覚野との機能的結合が日本語母語者より有意に強かった

これはともに視覚を司る脳の部位であり、英語母語者が脳内で視覚情報の処理を活発に行っていることを占めすものである。

つまり、英語母国者は耳から聞こえる音(聴覚情報)と視覚情報を密に連携させて脳内処理をしていることが改めて確認できる結果だといえる。

日本語母語者は会話の情報への視聴覚連携が弱い

外国語学習をする場合、欧米では、耳から聴く音だけでは十分な効果が見られないことがあるため、視覚情報を上手く活用することで学習効率が向上するとされているようだ。

しかし、今回の調査結果では、日本語母語者と英語母語者の「音声知覚」において、視聴覚情報の連携が明らかに異なっており、日本語母語者では視聴覚連携が弱いために、脳内ネットワークにおける活性化にも違いが生じていることが分かった。

この視聴覚統合の行動的差異があるたことで、日本語母語者は耳からの聴覚情報のみを取り入れて音声を知覚することが当たり前になっているので、外国語学習でもビデオ視聴による(話者の視覚情報も取り入れる)効果があまり見られないことにもつながっているように思われる。

それは、そもそもの日本人の会話情報の処理プロセスの特徴があることからだった。

■メドフィットが納得の転職を実現します!
⇒言語聴覚士の求人一覧

関連コラム