舌下免疫療法のメカニズムを解明、東北大学

最終更新日:2018年5月25日

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言語聴覚士コラム

舌下免疫療法のメカニズムを解明、東北大学

2016.06.28

アレルギー疾患における「舌下免疫療法」は、その根本的な治療法として近年注目されている治療法だ。 東北大学大学院歯学研究科口腔分子制御学分野の菅原俊二教授と、日本学術振興会特別研究員の田中志典博士らの研究グループでは、花粉症などのアレルギー疾患の根本的な治療法として注目される舌下免疫療法のメカニズムを明らかにする研究結果を発表した。同研究成果は、5月12日付けの国際粘膜免疫学会学術誌「Mucosal Immunology」(電子版)に掲載されている。

舌下免疫療法

舌下免疫療法は、舌の下の粘膜からアレルギーの原因物質(抗原)を吸収させ、症状の改善を図るアレルギー治療法である。抗ヒスタミン薬などによってアレルギー症状の軽減を目的とする対症療法とは異なり、体質改善によって症状を改善する根本療法とされている。

口腔の粘膜では、常在菌や食物、ウイルスなどに常にさらされているが、これらに対するアレルギーや炎症反応は通常は起こらない。この作用を利用して考案された舌下免疫療法では、詳しいメカニズムは不明だった。

口腔の「樹状細胞」が抗原情報を伝達

そこで同研究グループでは、舌下に抗原を入れた実験マウスを用いて口腔粘膜の抗原提示細胞(抗原の情報を伝達する免疫細胞)に着目して検証した。その結果、免疫系の一部を担う「樹状細胞」が口腔粘膜の抗原提示細胞として抗原の情報を伝達する能力を持つことが分かったという。

さらにマウスの舌下に入れた抗原を追跡したところ、まずは口腔粘膜の免疫システムであるマクロファージが抗原を取り込み、その後、樹状細胞が抗原を顎下リンパ節に運搬していた。樹状細胞はそこで抗原提示を行うことで、免疫応答の抑制的制御を司る「制御性T細胞」を誘導することが分かった。

このことから同研究グループでは、この樹状細胞の機能を高めることによって舌下免疫療法の効果を増強できる可能性があるとしている。

遅延型(潜在型)アレルギーにも有効

また舌下免疫療法は、花粉症などのアレルギー性鼻炎や喘息に有効であることが示されていた。今回、舌下免疫療法によって制御性T細胞が誘導されるのであれば、他のアレルギー疾患の抑制にも有効である可能性があると仮定して検証した。その結果、舌下免疫療法は「遅延型(潜在型)アレルギー」の抑制にも有効であることが分かった。

「遅延型(潜在型)アレルギー」では、すぐに症状が出ないものの普段食べている食物が健康を害し、気付かないうちに炎症が進行するなどで老化を早めている可能性がある。その食物を食べ続けた結果、細胞が慢性炎症を起こすとされている。

今回の研究結果として、舌下免疫療法によって顎下リンパ節に誘導された制御性T細胞は実際に様々なアレルギーを抑制する機能を持っていることが証明された。

また同研究グループは、今回の研究成果が舌下免疫療法に関する重要な基礎研究成果となり、今後はアレルギー治療への応用につなげていくとしている。

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