聴覚障がい者が使う「要約筆記」への積極的な理解を

最終更新日:2018年8月14日

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言語聴覚士コラム

聴覚障がい者が使う「要約筆記」への積極的な理解を

2016.05.31

耳が不自由な聴覚障がい者は見た目では特徴がなく、健常者のように話すこともできるため、周囲に気付いてもらえずに理解を得にくい傾向がある。 そのため、いざ聴覚に障害を持っていることを伝えても受け入れてもらえるのか不安になったり、職場で不利になるのではないかと恐れたりして、伝えることをためらう聴覚障がい者も少なくないという。
また中途失聴者は耳が聞こえなくなってすぐに「手話」や口の動きを読む「読話」を使うことは出来ないため、相手の話す内容を素早く要約して、ノートに手書きしたり、パソコンで打ち込んだ文字で表す「要約筆記」に頼ることが多い。
聴覚障がい者の社会参加において、この要約筆記は欠かせない手段になっている一方で、まだ一般的に馴染みが薄いため、会議や講演会などで要約筆記による情報保障を求めても認められないケースもあり、手話のように多くの人に理解してもらいたいと感じる聴覚障がい者も多いようだ。

聴覚障がい者の3割は文字がコミュニケーション手段

「要約筆記」は聴覚障がい者のためのコミュニケーションの保障として1960年代に考案されたもので、聴覚障がい者への情報保障の1つの手段として近年重要になっている。
厚生労働省の2006年度の調査によると、聴覚障がい者のうち、筆談・要約筆記などの主に文字で意思疎通を図っている人は全体の3割(30.2%)に上っており、手話(18.9%)を上回っている。
特に病気や突発性難聴などにより聴覚を失った中途失聴者や、加齢が原因で聴力が衰えた高齢者(老人性難聴者)では、耳が聞こえなくなってから手話を覚えるのは難しく、文字に頼る人が多い。
要約筆記には、具体的な方法として以下の4つがある。

○OHP(オーバーヘッドプロジェクター)要約筆記
ロールフィルムという透明のフィルムに油性ペンで文字を記入し、OHPを通してフィルムをスクリーンに投影して、多数で見ることが出来る。

○OHC(オーバーヘッドカメラ)要約筆記
OHCを使って、紙に筆記したものをスクリーンに映し出す。OHPと同じように多数で見ることが出来る。

○筆談要約筆記(ノートテイク)
聴覚障がい者のそばでノートやホワイトボードに文字・絵などを書いて情報を伝える。

○パソコン要約筆記
パソコンに文字を打ち込んで話を要約する方法で、多数向けにも個人向けにも利用できる。

各自治体で要約筆記者を派遣

要約筆記の普及として、国内では1981年(昭和56年)から要約筆記奉仕員(要約筆記者)の養成が開始され、1999年にはその養成カリキュラムも作られた。
2006年に施行された「障害者自立支援法」により、要約筆記者の派遣事業が市町村地域生活支援事業のコミュニケーション必須事業になり、2012年からは国が定めた84時間以上の養成カリキュラムに基づく講座を受け、全国統一要約筆記者認定試験に合格した人が要約筆記者として自治体などに登録されるようになった。
養成講座では、要約訓練の他、個人情報などに関しての守秘義務についても学ぶ。

コミュニケーションの保障と社会的な受け入れを

聴覚障がい者による要約筆記者の派遣の利用が少ない自治体はまだ多い。登録試験の問題作成などを行う特定非営利活動法人全国要約筆記問題研究会では、要約筆記者は訓練を受けた専門職であるため、社会的なコミュニケーションを保障する権利だと思って積極的に活用してほしいと呼びかける。また聴覚障がい者であることのカミングアウトについて、理解してもらったほうがよいと分かっていても、過去に不利益を被った経験があると積極的になれなくなるとして、聴覚障がい者が不利益を受けないよう、企業などで社会的な受け入れ態勢を整えていくことが求められていると指摘している。
それでも要約筆記を活用する場面は特に都市部において、企業や行政機関の研修会などで徐々に増えているようだ。
また今年4月にスタートする「障害者差別解消法」によってさらに広がるとみられる。

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