子どもの吃音にどう向き合うか

最終更新日:2018年11月15日

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言語聴覚士コラム

子どもの吃音にどう向き合うか

2016.01.06

言語聴覚士の業務は多岐に渡るが、中でも強い心とホスピタリティが求められるのが子どもの吃音障害だろう。吃音障害を持つ子どものケアは家族と足並みを揃えて行う必要があり、子ども本人だけでなく、その親の心を支え、勇気づけることも意識するべきだ。
わが子の吃音に対して誰よりも心を痛めるのが両親であり、親の感じた痛みは鋭い感性によって子どもに伝播する。
障害を克服するために戦う子どもに余計なくったくを与えないためにも、言語聴覚士には多角的な見地に立った患者と患者家族のサポートを心がけてほしい。

子どもの発達に悩みを抱える保護者向けの取り組み

病院に勤務してリハビリセンターなどで業務にあたっている言語聴覚士の場合、病院の外で患者と患者家族に向き合う時間は少ないだろう。
しかし、彼らの悩みは日常生活の中にこそあり、リハビリセンターではその姿に直接触れる機会は多くない。より実情に踏み込んだサポートを提供するには、言語聴覚士の側から病院を飛び出した活動を行って歩み寄る必要があるのではないだろうか。
既にそういった活動を実践している言語聴覚士を紹介する。

・田尻恵美子(埼玉県言語聴覚士会所属・言語聴覚士)
・古山慎治(新座志木中央総合病院所属・言語聴覚士)

両者ともに2015年12月に子どもの言葉や発達の悩みを抱える保護者を対象とした育児セミナーの講師を務めた。言語聴覚士・田尻恵美子氏は春日部市障がい支援課ことばの教室に所属しており、多数のイベントに関わっている。

言語聴覚士・古山慎治氏の実践するケア

新座志木中央総合病院にて8年前から言語聴覚士として働く古山慎治氏は、発達支援外来で摂食・嚥下障害、自閉症スペクトラム、言語発達遅滞、機能性構音障害、学習障害、吃音、ADHDといった障害のケアから始まり、発達の遅延から派生した子どもの不登校・登校拒否・場面緘黙へのサポートも行っている。
これらの経験から、吃音障害には長期に渡るケア、訓練、サポートが必要であるとして、最終的には幼児期から成人期まで一貫して支援する「生涯発達支援」が目標なのだという。
そのための活動の一環として古山慎治氏が関係している市民団体「ジークフリーツ」の活動について紹介したい。

市民団体・吃音サポート「ジークフリーツ」

吃音サポート「ジークフリーツ」の活動は音楽療法を中心としている。
当事者と吃音に関わる専門家、そして音楽で社会貢献したいと考える市民で構成された同団体は、言語的・心理的・社会的問題のトータルサポートを目的とし、当事者と社会のいずれか一方だけではない双方向の支援を目指すものだ。
ジークフリーツはセミナーを初めとしたイベントを開催している。障害との向き合い方に迷っている患者と患者家族にとっては、吃音のための音楽療法を体験するとともに、吃音によってさまざまな苦労をしてきた経験者の声に触れるチャンスとなるだろう。

吃音障害をめぐる親と子へ、言語聴覚士ができること

吃音や発達障害の症状は人それぞれだ。ひとことで吃音と呼ぶ障害であっても個人差が大きい。
ほかの吃音当事者のケースを知り、他者と協力して課題をクリアして行くワークを提供することで、親と子の連帯感を深め、また、社会参画を促進する取り組みも行われている。
群馬県前橋市で実施された「吃音キャンプ IN GUNMA」などがその一例だ。
もちろん、このキャンプも言語聴覚士が関わって開催にこぎつけた。
キャンプの中では、未就学児から高校生まで、年齢の区別なく自然散策をし、ゲームやカルタを楽しんだ。参加した高校一年生が言う。
「人それぞれ症状が違うことがよく分かった」

言語聴覚士ができることは、専門知識と技術を駆使して訓練をサポートすることだけではない。
障害の当事者には、自分の症状や苦労だけに注目するのではなく、周囲の人々や同じ障害を持つ先達者の生き方に視野を広げるように進め、家族に対しては子どもの障害について思いつめないように力づける。
早くしゃべれない子どもとの具体的な向き合い方や、考え方を伝える努力もまた有効性があるのではないか。

リハビリに選任できる言語聴覚士のポストは、病院に限定してみれば多いとは言えない。
言語聴覚士自身も患者との関係を改めて考え、活躍の場を広げていくべきなのだろう。

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