公開日:2019.03.08
最終更新日:2021.10.06
米バージニア・コモンウェルス大学の研究グループによって、味覚消失(食事をしても全く味を感じない)などの症状を抱える「味覚障害」の原因は、必ずしも口の中にあるとは限らず、味覚機能よりも嗅覚機能に問題があることが明かになった。
同研究成果は、「International Forum of Allergy and Rhinology」(電子版)に2018年12月10日付けで発表された。
公開日:2018.10.23
最終更新日:2021.10.06
九州大学は9月20日、二宮利治氏(同大大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野教授)が主任を務める久山町研究の一環として、竹内研時氏(同大歯学研究院口腔予防医学分野助教)と山下喜久氏(同教授)、松元幸一郎氏(同医学研究院呼吸器内科学分野准教授)らが共同で行った研究によって、歯周病の進行が『呼吸機能の急速低下』に関わることを明らかにしたことを発表した。
同研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。
公開日:2018.10.02
最終更新日:2021.10.06
一般的に、がん手術の直後においては、患者の体力は低下しており、一時的に肺炎などにもかかりやすくなる。
過去の研究では、「術後肺炎」の発症率は2.6~3.5%ほどであるものの、重症化すると入院日数が伸び、死亡率も増加することが報告されている。
東京大学は8月24日、康永秀生氏(同大大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学教授)らの研究グループによって、歯科医による「手術前口腔ケア」が、がん患者の術後肺炎発症率や死亡率を減少させることが明らかになったことを発表した。
同研究成果は、「British Journal of Surgery」(電子版)に掲載された。
公開日:2018.05.24
最終更新日:2021.10.06
障害や高齢などで耳が不自由な人にとって、舞台鑑賞や映画での音声で伝わるセリフのような情報は取り入れることが難しく、そのため、物語の進行を理解することは困難になっている。
聴覚・視覚障害者らへの観劇支援に取り組むNPO法人「シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)」(東京都世田谷区)が聴覚障害のある人20歳代以上の男女を対象(185人)に行ったアンケート調査の結果によると、「舞台鑑賞に行ったことがない」と答えた人は約3割(66人)に上る。その主な理由には、「手話通訳や字幕がないから」「セリフが聞き取れず、内容の理解が難しい」などが挙げられた。
このような耳が不自由な人でも舞台鑑賞や映画を楽しめるよう、音を文字や振動に変えて伝える機器の開発が進められている。
公開日:2018.04.13
最終更新日:2021.10.06
花粉症シーズンが到来している。飛散期には鼻水やくしゃみが止まらなかったり、鼻づまりによって、夜もなかなか寝付けない人もいるかもしれない。
このようなスギ花粉などのからの花粉症や、ダニによるアレルギーなどの治療は、従来の方法では注射が必要だった。
しかし、より簡単な治療として、口の中に薬剤を含むだけで体質改善を図る「舌下免疫療法」が注目されている。
スギ花粉用として、液体薬による治療が広がっており、新たに錠剤タイプが登場しそうだ。また、ダニ用には、子どもでも受けられる薬剤もあるようだ。
公開日:2018.03.08
最終更新日:2021.10.06
口腔・咽頭がん(口腔がんと咽頭がんの総称)では、口腔内の舌、歯肉、口腔底、口蓋、唾液腺などの部位にがんが発生するのが「口腔がん」、咽頭(上咽頭、中咽頭、下咽頭および扁桃など)の部位にがんが発生するのが「咽頭がん」となる。
国際がん研究機関(IARC)によると、口腔・咽頭がんにおいて、喫煙や飲酒は確実なリスクであると報告されている。
これまで日本国内では、日本人を対象とする喫煙・飲酒と口腔・咽頭がん罹患リスクとの関係を検証した大規模な研究はほとんど行われていなかった。
国立がん研究センター 予防研究グループは1月24日、多目的コホート研究「JPHC Study」の成果報告として、喫煙・飲酒と口腔・咽頭がん発生リスクに関する調査(40~69歳の男女約9万6,000人を対象)の結果を公表し、口腔・咽頭がんの罹患リスクは、男性の累積喫煙指数が高いグループで最大4.3倍増加することを発表した。
公開日:2018.03.02
最終更新日:2021.10.06
耳鳴り(耳鳴、じめい)は、煩わしく、耐え難いそのストレスで不快感や不眠、うつ症状などを引き起こす。
アメリカでは、耳鳴りの症状がある患者が国民の約15%に上るとの報告もあり、仕事や日常生活にも支障を来たす患者は約200万人に上るという。
米ミシガン大学の研究グループが、この耳鳴りの新たな治療法として、耳からの音の刺激に加えて、「首や頬の皮膚に電気刺激を与える非侵襲的なデバイス治療」を実施した小規模研究によって、耳鳴患者の症状が軽減し、生活の質(QOL)が向上したと、「Science Translational Medicine(1月3日号)」で発表した。
公開日:2018.02.23
最終更新日:2021.10.06
近年、「手話言語条例」を制定する動きが全国の自治体に広がっている。手話を一つの言語として広く使える社会を目指そうというもので、同条例に基づいた啓発・普及活動も全国各地で行われている。
大阪府では、昨年3月にこの「手話言語条例」が施行された。同条例に基づき、未就学児を対象にした手話獲得支援事業「こめっこ」の今年1回目が、1月20日、大阪市中央区の府立施設の一室で開かれた。
「交流する」の英単語の頭文字などをとって名付けた同事業は、未就学の子供の頃から手話に慣れ親しんでもらおうと昨年6月から隔週で開催されている。この日は、約40人の子供たちが参加し、雪だるまの絵本の読み聞かせを行うスタッフを熱心に見つめていた。
公開日:2018.02.08
最終更新日:2021.10.06
何気ない生活習慣が、老後の想定外の破滅への兆候(サイン)となることがある。
中高年が陥りがちな「食べこぼし」や「口の周りにつくご飯粒」もその重要なサインの一つだ。
一見、ささいなことに思えるこれらの口の変化は、老化のサイン「フレイル」の一種、「オーラルフレイル」の兆候かもしれない。
公開日:2018.01.25
最終更新日:2021.10.06
お正月では、食事の中にはお餅(もち)を食べる家庭も多かっただろう。
しかし、高齢者がお餅を喉に詰まらせてしまうと、最悪の場合、死亡事故に至ってしまうこともあるので、お餅を食べる時には注意が必要になる。
どんな食べ物でも「誤嚥(ごえん)」が起きる可能性はあるが、特に粘り気がある「お餅」は気管を完全に塞いでしまい、窒息状態になるなど深刻な事故にもつながりやすい。
「食べる」という行為は、「噛んだ食べ物を舌で喉に送る」、「喉が収縮し、喉仏が上がる」、「気管の入り口が閉じ、食べ物が食道を通る」という一連の動作になるのだが、筋力が弱まっている高齢者は、このタイミングがずれたりして、食べ物が気管に入ってしまうのだ。
このような高齢者の誤嚥事故防止のためには、「口腔(こうくう)ケア」を行える人材も貴重になっている。
公開日:2017.12.06
最終更新日:2021.10.06
衆参両院の選挙時にはテレビで政見放送が流れる。しかし、それには国政選挙の政見放送時には付いている「手話通訳」は付けられていない。
耳が不自由な聴覚障害者たちに衆院選の候補者・政党の訴えを知ってもらおうと、群馬県聴覚障害者連盟(早川健一理事長)は、政見放送の録画を手話通訳・字幕付きで見る無料上映会を13市町の福祉センター、公民館・図書館などで計18回開催した。
上映会では新たに生まれた政党の名前を手話でどう表現するかなどを確認した後に、政見放送を手話通訳しながら見るもの。同連盟によると、字幕だけで手話の付いていない政見放送もあったという。
公開日:2017.11.28
最終更新日:2021.10.06
早稲田大学と慶應義塾大学は、服部正平氏(早稲田大学理工学術院教授)と本田賢也氏(慶應義塾大学医学部教授)の研究チームが、口腔に存在する細菌「クレブシエラ菌」が腸の中で増殖すると、『クローン病』や『潰瘍性大腸炎』などといった腸に慢性炎症が起こる難病の原因になる可能性があることを動物実験で確かめたことを発表した。
同成果は、10月20日付けの国際学術雑誌「Science」に掲載されており、治療薬の開発に役立つ可能性があるという。
公開日:2017.11.15
最終更新日:2021.10.06
補聴器などの医療機器や音響・振動計測器などの環境機器の製造、販売を手掛けるリオン株式会社(本社:東京都国分寺市、清水健一社長)は、10月12日、回路材・半導体関連材料・光学フィルムなどを製造する日東電工株式会社(Nitto、本社:大阪府大阪市、髙﨑秀雄社長)と共同で、世界初の「補聴器用ワイヤレス充電システム」を開発したことを発表した。
今後は、両社で製品化を目指したさらなる検証を重ね、2018年6月頃の販売開始を計画しているとしている。
同システムは、リオン社製の補聴器「リオネット補聴器」及び、「補聴器用空気電池」と互換性のあるリチウムイオン充電池・ワイヤレス充電器機能が備わった充電池モジュールになっており、リオネット補聴器ユーザーの利便性の向上に大きく寄与するとしている。
公開日:2017.11.06
最終更新日:2021.10.06
「高齢になると耳が遠くなる」とはよく言われるが、年齢に関係なくとも「耳鳴り」や「難聴」なども、耳のトラブルは起こりかねない。
2017年6月には、男性アイドルデュオ・KinKi Kidsの堂本剛さん が突然に原因不明な内耳性の感音性難聴の「突発性難聴」で入院した。
「突発性難聴」は、難聴になった瞬間がはっきりとわかるように突然起こるもので、徐々に時間をかけて難聴が進むケースとは区別されるものだ。
耳鳴りや耳閉憾のほか、半数程度の患者は発症の瞬間に強いめまいも伴うとされる。
公開日:2017.09.20
最終更新日:2021.10.06
「ぼぼぼぼぼく」といった「同じ音の繰り返し」や「言葉のつまり(単語の途切れ)」などの特徴が見られる。これは幼少期には約20人に1人が発症するといわれる「吃(きつ)音」の症状だが、近年では、その実態調査やガイドライン作成などの有効な対策を探る動きがある。
この吃音の「言いよどみ」には調子の波もあって、例えば、同じ文章でも誰かと一緒に読む、メトロノームに合わせて朗読するなどで症状が出なくなるなど周囲にも左右されるケースも多い。
公開日:2017.08.30
最終更新日:2021.10.06
2017年、言語訓練用アプリ『ActVoice for Pepper』を活用した「失語症者に対するリハビリの臨床試験」において、有意な改善が確認できたことが発表された。今回は、リハビリアプリの詳細や、それによりどのような効果が期待できるのかについて解説する。今後の失語症リハビリの可能性についてもご紹介するので、合わせてご覧いただきたい。
公開日:2017.08.02
最終更新日:2021.10.06
健康な食事では「一口で30回以上噛む」などと言われるように、食事中には『よく噛むこと(咀嚼回数の多さ)』が大事だとされる。しかし、柔らかく栄養価の高い様々な種類の加工食品などが普及したことによって、現代人の咀嚼回数は劇的に減少しているようだ。
東京医科歯科大学では6月13日、中島友紀氏(同大大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学分野教授)らと、和氣弘明氏(神戸大学医学研究科システム生理学分野教授)との共同研究によって、成長期における咀嚼刺激の低下は記憶を司る海馬の神経細胞に変化をもたらし、記憶・学習機能障害を引き起こすと発表した。
同研究成果は、国際科学誌「Journal of Dental Research」(電子版)で発表された。
公開日:2017.07.12
最終更新日:2021.10.06
日本人が英語のリスニングで苦手とする英単語としては、例えば「right」と「light」の違いがある。これは、日本語にはない音の聞き分けでもあるためだ。
従来の英単語のリスニング学習では、このような聞いた音(英単語)に対して、それがどちらの音であるか(「r」か「l」のどちらか) というテストを行って、正解(それが実際にはどちらの音なのか)を学習者に伝えるものだった。
このようなリスニング学習による英語のリスニングの促進が多い一方で、このような学習方法では成果が出るまでに長い時間を要するという問題があった。
大阪大学では6月15日、常明氏(情報通信研究機構(NICT)脳情報通信融合研究センター)らの研究グループと同大大学院情報科学研究科、北海道大学との共同研究によって、無意識に英単語のリスニング能力を向上できるニューロフィードバック技術の開発に成功したと発表した。
同研究成果は、同日付けの「PLOS ONE(OPEN ACCESS)」に掲載されている。
公開日:2017.06.13
最終更新日:2021.10.06
オートファジーは『自食』とも呼ばれる細胞内のバルク分解系で、細胞内のタンパク質を分解するためのメカニズムになっている。
恒常的には、このオートファジーが自食作用によって細胞質成分を入れ替えるために「細胞内の品質管理」に貢献している。
東京大学医学部附属病院では5月11日、藤本千里氏(同院耳鼻咽喉科・頭頸部外科助教)、山岨達也氏(同教授)らの研究グループが、マウスの聴覚機能において『オートファジー』が重要な役割を果たすことを発見したことを発表した。
同研究成果は、同日付けの英科学雑誌「Cell Death & Disease」に発表されている。
公開日:2017.01.26
最終更新日:2021.10.06
食べ物をどのくらい効率よく咀嚼(そしゃく)できるかを示す指標である「咀嚼能率」。食事で噛む回数が多くても、この咀嚼能率が低いと食べ物を細かく噛み砕けない。一般的には歯を失ったり、加齢によってこの咀嚼能率は著しく低下する。
国立循環器病研究センター、新潟大学、大阪大学では昨年11月に共同研究の一環としてこの「咀嚼能率」の低下とメタボリックシンドローム(メタボ、内臓脂肪型肥満)との関係性を示す研究成果を報告した。
それによると、「咀嚼能率」が低下している高齢者では、メタボを発症する割合が最大2倍近くまで高まるという。このような「咀嚼能率」とメタボの関係性が示された研究は世界でも初めてだ。