放射線を受けたヒト細胞の障害感知・修復の仕組み

最終更新日:2018年5月25日

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診療放射線技師コラム

放射線を受けたヒト細胞の障害感知・修復の仕組み

2015.06.11

放射線によるDNA(デオキシロボ核酸)への受傷は、発がんや細胞老化の原因となることが知られている。
4月23日、東北大学の研究グループは、放射線の影響によってDNA二本鎖切断(DSB)が生じた近傍の転写(DNAからRNAを合成する過程)が止まり、障害を感知して修復に向かう仕組みを解明したことを発表した。
この研究成果は同日付の米科学誌「Molecular Cell」(電子版)に掲載されている。

DNA二本鎖切断(DSB)

細胞にとって脅威となるDNA損傷。その中でも、DNA二本鎖切断(DSB)は放射線やがん化学療法剤などで誘発され、修復されずに蓄積されるとDNAが持っている遺伝情報の消失や染色体転座(染色体異常)、細胞死を招く特に危険なDNA損傷である。
人体ではDNAの塩基配列の情報からタンパク質を作るために、まずRNA(リポ核酸)へ情報が移される転写が起こるが、DNAに傷があるとこの転写は止まり、身体に必要なタンパク質が作られなくなり細胞の機能が止めてしまう恐れもある。
しかし、放射線による二本鎖切断の場合にその周辺での転写抑制に加えて、修復が行われることも以前から分かっていた。

転写抑制因子「ポリコーム」

研究グループは、転写を促進する酵素(RNAポリメラーゼ)に結合するタンパク質(ENL)に細胞内で転写を抑えるタンパク質「ポリコーム」がさらに結合することを発見した。
これにより、本来は転写を促進させる因子が転写を抑える因子を呼び寄せて、それぞれの進行している転写の現場で転写を抑制し、DNA二重鎖切断の修復タンパク質を呼び寄せ修復を行い、再び転写が開始するという仕組みになっていることが分かった。

細胞のがん化・老化の抑制にも

研究グループではこの仕組みについて電車の安全システムを例に挙げて、前方の電車の障害が発生すると進行中の電車の運転手に停止シグナルが伝えられブレーキがかかり、周辺の電車は次々と止められ、障害の修理が行われ、修理が終わると近くの電車から運転を始める様だと述べている。
さらに同メカニズムでは、放射線による細胞死を抑え、さらに細胞のがん化や老化抑制にも関与していることも判明したとしている。

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