肝臓ホルモンが関与して「運動の効果」に個人差

最終更新日:2018年5月23日

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理学療法士コラム

肝臓ホルモンが関与して「運動の効果」に個人差

2017.04.06

近年では、デスクワーク中心のビジネススタイルへの移行なども背景にあって、運動不足(身体活動量の低下)などの生活習慣は蔓延している。

そのため、2型糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病が急増している。これらの疾病の予防・治療にもなる定期的な運動は「運動療法」と呼ばれて推奨されている。

科学技術振興機構(JST)では2月28日、金子周一氏(金沢大学医薬保健研究域医学系教授)、篁俊成氏(同教授)、御簾博文氏(同准教授)らと同志社大学、筑波大学、アルフレッサファーマ株式会社(本社:大阪府大阪市中央区、岩谷健一郎社長)の共同研究グループが肝臓の分泌ホルモンの一種「セレノプロテインP」が骨格筋に作用して、運動を行った効果を無効にする病態である「運動抵抗性」が起こっているメカニズムを発見したと発表した。

同研究成果は、2月27日付けのアメリカの総合医学雑誌「Nature Medicine」(電子版)に掲載されている。

肝臓の分泌ホルモン「セレノプロテインP」と運動効果の関連性

生活習慣病への運動療法を始めとして、運動療法の効果の個人差は大きく、運動によってあまり健康増進効果が見られないケースがあることはこれまでも問題になっていた。

同共同研究グループでは、これまでに2型糖尿病の患者では肝臓で産生される分泌タンパク「セレノプロテインP」の血中濃度が高まっており、この「セレノプロテインP」によりインスリン抵抗性が起こされて血糖値が上昇していることを確認。

また、肝臓の分泌ホルモンとして、血液を介して全身であらゆる作用を発揮する「ヘパトカイン」の存在を提唱していた。(セレノプロテインPもその1つ)

一方で、「セレノプロテインP」の運動効果へ与える影響は明らかになっていなかった。そこで同研究グループでは、マウスや培養筋細胞を用いた実験および臨床研究を行うことによって、セレノプロテインPが運動の効果に与える影響を検討した。

運動の効果を無効にする病態・「運動抵抗性」を確認

検討結果として、「セレノプロテインP」は『LRP1』という受容体を介して過剰に筋肉に作用し、運動したにもかかわらずその効果を無効にする病態である「運動抵抗性」を起こすことを発見した。

このセレノプロテインPを生まれつき持たないマウスでは、通常のマウスと同じ強度・同じ時間の運動療法を行っても、運動の複数の効果が倍増していることも分かったという。

また、健常者を対象にした臨床研究では、2ヶ月(8週間)の有酸素運動トレーニングを行っても血液中のセレノプロテインP濃度が高い人が低い人に比べ、運動効果が向上しづらいことも判明した。

生活習慣病を対象とした新しい「運動効果増強薬」開発などに期待

このセレノプロテインPの血中濃度は、2型糖尿病以外にも脂肪肝患者や高齢者で上昇していることが分かっている。

このようなセレノプロテインPが過剰に存在する場合では、運動を行ってもその効果が起こらない病態・「運動抵抗性」が生じている可能性がある。

同研究グループでは、血液中のセレノプロテインP濃度測定によって、運動効果の出やすい人、出にくい人の事前予測が可能になるとしている。

また、今後、セレノプロテインPの肝臓での産生抑制薬や、筋肉でのLRP1受容体の拮抗薬などにより、運動の効果を高められる「運動効果増強薬」の開発につながることが期待される。

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