脊髄損傷による麻痺の治療に新たな可能性

最終更新日:2018年11月15日

Select Language >>

0120-978-003
月~土 9時~18時 / 夜間・日・祝は受付のみ
理学療法士コラム

脊髄損傷による麻痺の治療に新たな可能性

2015.01.22

人体の中枢神経とも呼ばれる脊髄は、人体の機能を司っている。
この脊髄が事故などによって損傷・切断すると最悪の場合、その部分以下が麻痺し、感覚が無くなってしまうかもしれない。
どれだけ優秀な医師が手術しても、理学療法士が訓練を指導したところで、脊髄損傷による麻痺を治すことは不可能であった。

そんな脊髄損傷による麻痺を克服することができるかもしれない。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが、脊髄に埋め込む装置を開発したのだが、これを利用することによって歩行機能が回復するかもしれないのだ。 このニュースは麻痺に悩む患者と、無力に悩む医師、患者のサポートをする理学療法士にとって一筋の光明となるのではないだろうか。

「e-Dura」という光

EPFLのStephanie Lacour教授とGregoire Coutine教授のチームは「e-Dura」という装置を開発した。
これは脊髄に埋め込む装置なのだが、脊髄損傷して歩けなくなったラットに「e-Dura」を移植し、電気・薬品で刺激を与えることによって歩行機能を回復させることに成功したという。
このような装置は今までも作られていて、脊髄の役割を回復させること自体には成功している例が多くある。しかし、人体に装置を長期にわたって組み込むことで、脊髄保護を目的とする硬膜内部で炎症・拒絶反応が出てしまうため、実用化ができずじまいだった。
今回発表されたe-Duraはその課題すらもクリアしている。

拒絶反応を抑える伸縮性

このe-Dura最大の特徴は伸縮性にある。 脊髄の上、硬膜内部に直接埋め込まれるのだが、周りの組織に馴染むよう伸縮して動くため、摩擦を最小限に抑制することが可能となるのだ。

Lacaur教授はプレスリリースで以下のように語っている。
「硬膜と同じ性質を持っているe-Duraならば、脊髄・大脳皮質に長時間埋め込むことが可能です。これによって神経の傷・障害で悩む人、特に脊髄損傷によって体の一部が麻痺した人にも治療が施せる可能性があります」

e-Duraの試作品を移植したラットは、数週間のリハビリで再び歩行できるようになり、2ヶ月以上経過した現在も拒絶反応が起きていないとのこと。 さらに研究が進み、人体でも問題なく使用できるようになれば、麻痺による苦悩はなくなるかもしれない。

既に麻痺状態でも身体を動かせるパワードスーツが開発されているが、機能自体の回復は不可能であった。
麻痺を根治することができれば、本来人体に備わっているべき「感覚」が蘇るだろう。
人と触れ合うことの喜びをもう一度手に入れることができる、このことは理学療法士の力でも困難だった「心の治療」にもつながるのではないだろうか。

■メドフィットが納得の転職を実現します!
⇒理学療法士の求人一覧

関連コラム