『IT創薬』で治療抵抗性のがんに効果のある低分子化合物を創出

最終更新日:2018年8月14日

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薬剤師コラム

『IT創薬』で治療抵抗性のがんに効果のある低分子化合物を創出

2018.08.03

東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)は6月13日、同センターと富士通株式会社(本社:神奈川県川崎市中原区、田中達也社長)、興和株式会社(本社:愛知県名古屋市中区、三輪芳弘社長)との共同研究によって、コンピュータ上での仮想的な設計・評価を行う『IT創薬』を実施した結果、「標的タンパク質(がんの原因となるタンパク質)」の阻害活性を持ち、従来のがん治療薬に抵抗性を示すがんに対しても効果が期待できる新規の低分子化合物の創出に成功したことを発表した。

がん治療薬に抵抗性を示すがんの創薬標的を選択

『IT創薬』の共同研究は、2011年6月に東大先端研と富士通が開始し、同年7月に興和が参画。それ以降、いくつかの創薬標的に関する研究を行っている。

今回は、2015年12月に開始した共同研究で、従来のがん治療薬に抵抗性を示すがんに対して、その原因となるタンパク質を創薬標的として選択するもの。

共同研究では、東大先端研が創薬標的に関する医学的見地に基づく情報提供を行い、富士通は『IT創薬』により阻害活性があると予想される低分子化合物を設計、興和が低分子化合物の合成を行い、阻害活性を測定する実験を行うという役割をそれぞれ担った。

まら、共同研究の期間中に、富士通と同グループの研究開発を担う株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市中原区、佐々木繁社長)では、『IT創薬』の技術改良を重ねており、精度面・性能面を向上してきたという。

富士通が設計した標的タンパク質を阻害する低分子化合物を興和が合成

富士通の『IT創薬』は、医薬候補化合物の設計技術と、これまでに培ってきた創薬の知見から、合成可能な低分子化合物の構造をコンピュータ上で設計するもの。

M2BAR法(エムスクエアードバー法、高精度活性予測技術を改良)を活用して、低分子化合物と標的タンパク質の結合強度を計算、医薬候補を絞り込んだ。

標的タンパク質の働きを抑える効果があると期待される化学構造は興和に提供され、富士通の設計をもとに興和が低分子化合物を合成し、目標としていた阻害活性を示す化合物を確認できたという。

創薬に向けて、低分子化合物を改良

興和は阻害活性を示す化合物と化学構造が似ている低分子化合物を複数合成することにも成功し、一連の化合物において目標とする阻害活性が示された。

さらにX線結晶構造解析によって、興和がこれら化合物の複合体構造を検証しており、今後、今回の研究成果を創薬に活かすために、今回の研究で得た低分子化合物を改良していくという。

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