高コレステロール血症治療の「PCSK9阻害薬」の登場

最終更新日:2018年11月15日

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薬剤師コラム

高コレステロール血症治療の「PCSK9阻害薬」の登場

2017.02.09

昨年2016年には、高コレステロール血症領域でバイオ医薬品(抗体医薬)の国内での発売が続いた

2016年1月に、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、マーク・テニソン社長)とアステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、畑中好彦社長)の開発した高コレステロール血症治療薬「レパーサ皮下注」(一般名︰エボロクマブ)の製造販売が国内で初めて承認されたが、同剤は2016年4月にアステラス製薬から発売された。

また、仏サノフィなどが共同開発した家族性高コレステロール血症・高コレステロール血症治療薬「プラルエント」(一般名:アリロクマブ)も同年7月に国内で製造販売承認され、9月にサノフィ株式会社(本社︰東京都新宿区、ジャック・ナトン社長)が国内2剤目となる販売を開始している。

(薬剤師コラム :高コレステロール血症治療薬の国内承認を取得、仏サノフィなども参照)

高コレステロール血症における「コレステロール値の管理」の重要性

脂質異常症の1つで代表的な疾患でもある高コレステロール血症(特に高LDL-コレステロール血症)は、血中コレステロール値や脂質量に異常を示すのが特徴だ。また、特に高LDL-コレステロール血症では、冠動脈疾患と脳梗塞の危険因子になることが分かっている。

そのため、脂質異常症患者において心血管イベント発症リスクが高いケースでは、そのリスク抑制のためのより厳格な「LDL-コレステロール」のコントロールを行うことが不可欠とされている。

また、家族性高コレステロール血症では、遺伝子の突然変異が原因で生じる遺伝子疾患だが、低年齢時からLDL-コレステロール値が高くなることも認められている。

「スタチン」との併用療法としての「PCSK9阻害薬」の役割

従来では、LDL-高コレステロール値を低下させることを目的とした高コレステロール血症治療法では、「スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)」単独か作用機序が異なる他の薬剤を併用した経口薬による薬物治療が基本となっている。

この治療法による有意なLDL-コレステロール値の低下は多くの患者で認められるものの、家族性高コレステロール血症や虚血性心疾患の既往などを有する一部の患者では、治療効果が不十分となる課題があった。

そこでエボロクマブやアリロクマブなどの「PCSK9阻害薬」と呼ばれる新しい作用機序を持った薬剤が第2選択の治療薬として登場した

家族性高コレステロール血症などではスタチンと併用して、これらのPCSK9阻害薬の年間12~24回の注射によって、コレステロール値を管理することが推奨される。

年2~3回の注射薬だけの次世代の「PCSK9阻害薬」治療も

さらに、2016年11月の米国心臓協会(AHA)年次集会では、次世代の「PCSK9阻害薬」とも呼べる「PCSK9」が産生される段階から妨げる治療薬「Inclisiran」が新たに報告された。

この「Inclisiran」を注射薬として使用した患者は、毎日のように薬を飲む必要がなくなり、LDLコレステロールの有意かつ持続的な低減が認められたという。

LDLコレステロールは肺炎などの感染防止に役立つなどの役割もあるため、LDLコレステロールを劇的に低下させてしまうことでの弊害がある可能性がある。LDLコレステロール値の上昇は心筋梗塞や脳卒中のリスク因子であるものの、反対にLDLコレステロール値の極端な低下が心筋梗塞や脳卒中のリスクを低減するかは分かっていない。

そのため、この次世代の「PCSK9阻害薬」治療では、この注射薬「Inclisiran」を年2~3回注射することのみで十分にLDLコレステロール管理できると報告されている。

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