iPS活用の難病研究で新薬候補物質を発見

最終更新日:2018年11月15日

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薬剤師コラム

iPS活用の難病研究で新薬候補物質を発見

2016.11.11

京都大学と慶応大学がそれぞれ進めているiPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用した難病の治療開発において、新たに6つの疾患を対象にした薬の候補物資を見つけたことを国立研究開発法人日本医療研究開発機構(東京都千代田区、末松誠理事長)が明らかにしている。iPS細胞が創薬研究に役立つ可能性を具体的に示す成果として注目されている。

今回新薬候補が提示された疾患は、筋肉が骨に変わる「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」など6疾患。これらの難病に対応すると考えられている新薬はいずれも他の病気の治療に使われている既存の医薬品で、今後両大学では臨床試験(治験)などを行って実用化を目指していくとしている。

両大学で3疾患ずつの難病治療薬を提示

iPS細胞の医療応用では、臓器・組織の機能を取り戻す「再生医療」に加えて、患者の細胞で病気を再現して薬の候補を探す「創薬」が注目されている。iPS細胞を活用した難病の治療開発において両大学では、難病患者の血液などからiPS細胞を作製し、そのiPS細胞から体細胞を再現。それぞれの疾患の特徴に対して、治療効果の高い薬の候補物資を調査している。

その中で京都大学では、「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」のほか、四肢短縮型小人症の一種で低身長になる「軟骨無形成症」、重症の四肢骨の短縮による低身長で肋骨の短縮で呼吸不全を招く「タナトフォリック骨異形成症」の3つの疾患に関する治療薬候補物質を発見した。

軟骨無形成症やタナトフォリック骨異形成症では、コレステロール降下剤として用いられるスタチンが患者のiPS細胞から作製した軟骨細胞を正常にする効果が見られた。

慶応大学でも、先天的な難聴などが生じる「ペンドレッド症候群」、全身の筋肉が衰えていく「家族性筋萎縮性側索硬化症」、原因不明で心臓の筋肉が厚くなり、不整脈などを起こす「肥大型心筋症」の3つの疾患の治療薬候補物資を見つけている。

既存の医薬品が難病にも効果か、自己判断の服用は危険

これらの候補物質は既存の医薬品であるため、すでに一般的に購入できる医薬品でもある。

しかし、同機構によるとこれらの新薬候補物質を難病患者に投与した場合の効果や副作用はまだはっきりと分かっていないため、今後の動物実験や治験を進めていくことで慎重に調べた上で実用化を目指すとしている。その一方で、患者や家族などの自己判断による服用禁止を強く呼びかけている

課題は資金不足、医師主導で治験開始

創薬の課題になるのは資金面で、再生医療に比べると創薬研究は支援も少ない。今回の6疾患の候補物質の治験を行うには数千万円~億単位で治験費用が必要になってくるようだ。

しかし、製薬企業が創薬開発による利益が見込めないなどの理由で治験を見送るケースも少なくない。今回の新薬候補はすべて難病疾患向けでのあるため、対象となる患者数は多くない。そのため、まずは医師主導で治験を進める中で、その効果が確認できれば、厚生労働省に既存薬の適用拡大を求めていく形だ。

難病治療薬の開発は難病患者の「希望の光」になるものだ。寄付や治験効率化のコスト削減など、工夫して治験費を捻出していきたい。

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