糖尿病新薬で脱水症状、死亡者も

最終更新日:2021年6月4日

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薬剤師コラム

糖尿病新薬で脱水症状、死亡者も

2015.03.17

2014年に発売された、2型糖尿病向けの新薬「SGLT阻害薬」による副作用で重い脱水症状が出ている。新薬は利尿作用によって血糖値を下げる手助けをし、体重減少や血圧低下に効果がある一方で、脱水症状や皮膚障害などの副作用もある。ここではSGLT2阻害薬の副作用について詳しく解説していく。

糖尿病新薬「SGLT2阻害薬」服用による脱水症状の報告

2014年に発売が相次いだ糖尿病新薬「SGLT2阻害薬」の「スーグラ」、「フォシーガ」などを服用した糖尿病患者のうち、18人が脱水症状を起こした。厚生労働省は薬の服用との因果関係を否定できないとして、各製薬会社に対し薬の添付文書で脱水症状に注意する旨を記載するよう改訂を指示し、医療機関には患者への慎重な投与を呼びかけるよう指示した。

また、同年には、製薬メーカーが公表した市販直後調査より「SGLT2阻害薬」で5人の死亡例が報告されている。他の薬剤に比べ早く発売されたスーグラは、販売開始5ヶ月後の10月16日に発表された中間調査報告で、1名の死亡例が確認された。また、フォシーガは承認日から4ヶ月後の中間報告で3名の死亡例が公開されている。死因には不明点も多いが、製薬メーカーは薬との関連性は無視できないとして、適正な使用を呼びかけている

糖尿病新薬「SGLT2阻害薬」とは?

新薬「SGLT2阻害薬」は、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が原因で起こる『2型糖尿病』を対象とする薬だ。2型糖尿病は、患者の体内で血糖を下げるインスリンの分泌量の減少や、肝臓や筋肉などの細胞でブドウ糖をうまく取り入れられなることで、血糖値が上がり発症する。合併症として腎臓病や網膜症による失明にもつながる病気で、国内の糖尿病患者の95%以上がこの型に該当する

新薬は、従来のインスリンの分泌を促すものと違い、尿中の糖を体内に吸収させるタンパク質(=SGLT)の働きを邪魔し、尿と一緒に糖を体外に排出することで血糖値を下げる作用がある。体重を減少や血圧を下げる効果もあるとして注目されている。

【「SGLT2阻害薬」として知られる主な商品】
スーグラ、フォシーガ、アプルウェイ、デベルザ、ルセフィ、カナグル、ジャディアンスなど

糖尿病新薬「SGLT2阻害薬」の副作用

2014年4月以降に国内で6製品が販売され、10万人以上が服用しているとされる糖尿病新薬。副作用のうち重篤なものは皮膚障害、尿路感染症、脱水症などで、死亡者も出ており、薬との因果関係にかかわらず幅広く届けられる。

2014年6月と8月には、今回の新薬の副作用での症例調査とその対策を練るため日本糖尿病学会専門医らによる委員会が開かれ、高齢者への投与は慎重に検討すること、脳梗塞などの防止対策として適切な水分補給を行うことなどが呼びかけられた。

またこのような状況に伴い、2014年6月、日本糖尿病協会は「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を発表。副作用による被害を可能な限り防止するため、随時情報を更新している。今回は、この「SGLT2阻害薬の適正使用に関する RecommendationSGLT2」(2019年8月改訂版)を参考に、阻害薬の副作用の例を挙げて解説していく。

■皮膚障害
搔痒症や発疹、薬疹、紅斑といった副作用は多数報告されているものの、非重篤のものが大半。SGLT2阻害薬投与後1日目から、およそ2週間以内に発症することが多い傾向にある。皮疹の場合は、他のSGLT2阻害薬に変更した場合でも同様の症状が生じる可能性があるため、SGLT2阻害薬以外への薬剤変更を考慮することが好ましい。皮膚障害に気付いた際は、早めに皮膚科医に相談することが大切である。

■尿路・性器感染症
尿路・性器感染症は、治験時より関連性が認められている副作用だ。尿路感染症は膀胱炎、腎盂腎炎などの病気、性器感染症は外陰部膣カンジダ症などの病気を指し、男性より女性に多く見られる傾向がある。投与から2、3日程と短期間で現れることもあれば、2ケ月程経ってから発症することもあり、発症時期には個人差があると考えられている。症状に気づいた段階で、婦人科や泌尿器科に相談するとよいだろう。

■脱水症
SGLT2阻害薬を服用後、口や喉の渇き、めまい、ふらつき、血圧低下などの副作用が見られた際は、体液量の減少を防ぐため、適切な水分補給が勧められる。特に服用初期は、通常体液量が減少するため、意識的に水分補給を行うことが必要である。 脱水は、脳梗塞のような血栓・塞栓症、急性腎障害などの重篤な症状に繋がることもある副作用だ。利尿剤を併用している高齢者は、特に脱水を起こしやすいため、必ず適切な注意喚起が行われる必要尾がある。

■重症低血糖
血液中のブドウ糖が一定の値よりも減少すると、低血糖となり、動悸や発汗、眠気や手足の震えなどの症状が出る。SU薬やインスリン製剤、即効型インスリン分泌促進剤などの血糖降下薬を服用している人に、SGLT2阻害薬を追加した場合、低血糖の副作用が現れる可能性があるとされている。 2型糖尿病患者がインスリン製剤とSGLT2阻害薬を併用する際には、低血糖に注意しインスリンを相当量減量することが必要である。

■ケトアシドーシス
ケトアシドーシスとは、インスリンが不足することで血糖値が上昇し、口渇、多尿、体重減少、多飲、全身倦怠感などの症状が急激に起こる病気である。悪化すると悪心、嘔吐、腹痛、呼吸困難、意識障害などに発展することもある。 もともと糖尿病の急性合併症の1つで、インスリンの減量や中止、清涼飲料水の多飲などが原因で起こるが、SGLT2阻害薬を服用することで、血糖上昇とならないままケトアシドーシスへ進行することが危惧されている。こうなると、発見が遅れ重症化する恐れがあるため、疑われる症状が出た際は、早急に専門医を受診することが求められる。

SGLT2阻害薬には適切な処方と注意喚起を!

糖尿病新薬のスーグラやフォシーガのような「SGLT2阻害薬」の副作用について解説した。 注目度が高い一方で、副作用も多く公表されている「SGLT2阻害薬」。脱水症、皮膚障害や尿路感染症、重症低血糖やケトアシドーシスなど、軽い症状から重篤な病気に発展する可能性があるものまで、「SGLT2阻害薬」の副作用を適切に理解し、適切な処方と注意喚起を行いたい。


【出典】
1、https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029748.php
2、https://www.carenet.com/news/general/carenet/49033
参考リンク
認知症 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
予防のために:認知症と食事 公益財団法人長寿科学振興財団
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000300/hpg000000223.htm
カマンベールチーズ 認知症予防に効果あり? ケアネット
http://www.carenet.com/news/general/carenet/39650

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