脂質異常症の治療薬が糖質異常にも有効

最終更新日:2018年12月14日

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薬剤師コラム

脂質異常症の治療薬が糖質異常にも有効

2015.04.27

現代の飽食社会では、血液中のコレステロールや中性脂肪などが慢性的に増える脂質代謝異常にかかる人が増えている。
脂質異常症は心筋梗塞や脳梗塞の発症につながりやすいとして生活習慣病の1つに挙げられる。
京都大学とかずさDNA研究所との共同研究では、脂質異常症の治療薬であるフィブラート系薬剤を投与した際に体内で生じる代謝変動を分析し、血糖値を抑える作用のある代謝物LPC(16:0)の血中濃度が変動したことを発見した。
2月15日付のアメリカ科学雑誌「Journal of Lipid Research」に掲載された。

脂質異常症

脂質異常症の患者は、国内では潜在患者も含め推定で2,200万人にも及ぶ。男性では30代~50代、女性では50代~60代で患者が増える傾向があるが、脂質異常症であることを自覚している患者はわずか30%と病気としての認識が低い。
血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)を減らすためには治療薬が用いられる。
代表的な治療薬のフィブラート系薬剤は、PPARαを活性化させて脂質生成のきっかけになるタンパク質の合成を抑える。
PPARα…ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体 (peroxisome proliferator-activated receptor) αの略称。
炭化水素、脂質、タンパク質等の細胞内代謝と細胞の分化に密接に関与している転写因子群。
主に肝臓・腎蔵に多く発現しており、脂質代謝関連の改善の標的。

メタボローム解析

今回の研究では肥満糖尿病マウスにフィブラート系薬剤を投与し、PPARαを活性化させた際のメタボローム解析を行った。
メタボローム解析は膨大な代謝物を一斉に分析するノンターゲット分析が可能で、質量分析器 (MS))で迅速かつ網羅的に分析できる。
既存の代謝物を対象にしたターゲット分析とは異なり、想定されなかった代謝変動を調べることができる。
その結果、血糖値を制御する作用のあるリン脂質の一種である代謝物LPC(16:0)(1-palmitoyl lysophosphatidylcholine)の血中濃度が特徴的に変動することがわかった。

新しい治療薬や機能性食品の開発

通常肥満や糖尿病が進行する場合にはLPC(16:0)の血中濃度が低下する。
今回の実験でLPC(16:0)の血中濃度の変動を起こしたことでフィブラート系薬剤に含まれるPPARαの活性化は糖質異常の改善にも効果がある可能性が出てきた。
将来的にはLPC(16:0)の血中濃度をコントロールする新規治療薬の開発も期待される。
また、脂質異常を抑えるPPARαは食品に含まれる天然物によっても活性化される。
研究グループでは、食品由来PPARαを活性化させた実験でも脂質異常がどのように抑制されるか解析して、体の調子を整える機能性食品の新規開発も試みる。

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