災害現場に見る作業療法士の役割とは

最終更新日:2018年8月17日

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作業療法士コラム

災害現場に見る作業療法士の役割とは

2016.05.11

日本は地震大国だ。近年はその傾向を裏付けるように激甚災害が増えている。 多発する地震。猛威を振るう台風。
東日本大震災以来地震に対する注意喚起は盛んだが、実は回数だけで見るならば日本にとってより大きな脅威となるのが台風だ。
政府によって激甚災害に指定された自然現象のうち、地震は「東日本大震災」と「熊本地震」のみ。それ以外はすべて台風が占めている。ただし、災害現場では常に状況は変わってしまう。たとえ原因である自然現象が同じであったとしても、現地の被災状況は決して一定しない。つまり、災害現場において支援を行うためには臨機応変にサポートする柔軟性と発想力、そして、それに対応する能力が必要なのだ。

被災地にも作業療法士の力を必要としている人々がいる。災害現場に見る作業療法士の役割について考えておきたい。

被災地では状況把握が作業療法士の活動の第一歩となる

近代日本で他に類を見ない被害規模を記録した東日本大震災。
歴史に残る悲惨な災害現場で、作業療法士もまた被災者のひとりだった。介助を必要とする高齢者、家族を失った父親、母親、子どもと並んで避難所に身を寄せていた。

当時の被災地では、想定外の人数が被災したこと、収容能力を超える避難者が出たこと、届かない支援、それらが複合的に影響しあって非常に混乱していたという。
体が弱った高齢者が固く冷たい床の上で雑魚寝をし、せっかく生き残った命が危険にさらされる。そのような事態が横行していたのだ。

残念なことに、東日本大震災の時点ではそのような激甚災害の時に、被災者の中に要介護者がいた場合の対応がマニュアル化されていなかった。どこに要介護者がいて、何が必要なのか、それを確認するルーティンすら決まっていなかった。
東日本大震災の折り、被災した作業療法士たちは身を寄せた避難所から活動を開始した。
「誰が」「どこで」「何を求めているのか」
そして、「作業療法士に何ができるのか」
最初の課題はこれらの項目の調査だった。

作業療法士の役割を考える

被災地で医療機能がストップした場合、継続した治療行為を必要とする患者については別の医療機関に移送するしかない。
しかし、緊急に治療を必要としない人々、要介護1程度の高齢者については避難所の領分となる。そうした人々のために作業療法士ができること、なすべきことは何なのだろうか。

作業療法士の使命は「日常生活を通じて人と社会をつなぐ」こと。
日常生活にまつわるすべての行為が「作業」であり、作業療法士のサポート分野なのである。
つまり、避難所で冷たく固い寝床に苦しむ高齢者も作業療法士の力を必要とするひとりであり、また、プライバシーの確保、食事、排せつなどに関わる環境整備なども作業療法士のスキルを発揮すべき項目だと考えていい。

災害時には最低限の生活欲求すら満たされない環境を突然押し付けられる。
ライフラインが寸断されれば物資も人の手も届かないのだ。

起こってしまった災害の現場では、いかにあるものを活用して避難者に行き渡らせるか、そして、ケアの比重を考えることが重要だろう。
今、熊本では頻発する余震の中でまた被災者が苦しんでいる。東日本大震災の教訓が生かされた部分、生かされなかった部分があるはずだ。
改めて避難所の入所者に対してインタビューを行い、どのような点が不満だったか、どのような問題を目撃したか、どうすればいいと思ったか、それらの情報を収集して、今後のために生かす。それが、要介護者に対するケアとともに作業療法士に求められる役割だ。

災害に遭遇して生き残り、避難所に収容された人々は環境次第で「その後」が変わってしまう。
最低限の欲求すら満たされない状況が続くと、せっかく生き残った人々の気力が削ぎ取られてしまうのである。非常事態だからこそ、生活に関わる作業療法士の役割は大きい。

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