鳥取大、国立大学病院で褥瘡発生率最低に

最終更新日:2018年8月15日

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作業療法士コラム

鳥取大、国立大学病院で褥瘡発生率最低に

2016.01.22

作業療法士は職務の性質上、高齢の患者を担当する機会が多い。
入院加療を必要とする高齢者の場合、自ら寝返りも打てない状態になると、病院スタッフが定期的に体位を交換して褥瘡の発生を防ぐ。
一般には「褥瘡」についての認識がまだまだ薄いが、高齢者の介護経験を持つ人々にとってはそのリスクは論ずるまでもないだろう。
2013年に厚生労働省の示した医療機関の評価基準には、褥瘡対策チームによるケアの項目が盛り込まれた。以降、褥瘡対策を実施しない医療機関派診療報酬を減額されるというわけだ。
これは2002年以降から必需となった褥瘡対策の基準強化につながっている。

褥瘡ケアの専従者も年々増える傾向が見られ、日本の医療機関で実施される褥瘡ケアは、本格的な取り組みが始まった2002年から比較して驚くべき進化を遂げた。
今回はその代表として、鳥取大学の褥瘡ケアについて紹介したい。

褥瘡対策チームが誕生するまで

全身が衰弱している高齢者など、自律活動が困難な患者は容易に褥瘡が発生してしまう。
日本褥瘡学会によると褥瘡は「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」と定義されている。
褥瘡とは外因性の要素によって皮膚の一部がただれたり、赤い色身を帯びたりして傷になることを示し、悪化すれば周辺組織を巻き込んで壊死を起こすリスクを持つ。
いったん発生すれば治療は困難を極める。
そこで、鳥取大学医学部付属病院では褥瘡の予防措置に傾注した。

2006年から褥瘡ケアについては医療報酬の評価がプラスとして上乗せされるようになり、この年、多くの医療機関が本格的に褥瘡対策チームを発足させたと言う。
鳥取大学も同様だ。
報酬の上乗せが確定した同年、鳥取大医学部付属病院に誕生した褥瘡対策チームの人員構成は形成外科医、認定看護師、栄養士、理学療法士、作業療法士と、基準を上回る充実を見せた。
人員は約20人から始まり、現在では421人にまで増えている。
院内試験の合格者から褥瘡選任看護師を任命して人材はさらに厚みを増し、2015年、ついに国立大学病院で最低の褥瘡発生率を達成した。
深部に及ぶ褥瘡については、2014年度の褥瘡発生率は1ヵ月で平均0.19%となり、4年間で3分の1にまで発生率を減らした計算だ。同院に入院した総数約2万3千人に対してわずか42人。いったいどのような取り組みでこの成果を挙げたのだろうか。

鳥取大学医学部付属病院で実施している「予防」措置

現場で働く専任看護師によると、褥瘡ケアは地道な努力と丁寧な対応の積み重ねだったそうだ。
各病棟の連携を綿密に図り、患者の情報やケアの注意点、思いついた工夫などを共有し、患者の観察に努めた。
見た目に現れない深部褥瘡の早期発見や、褥瘡が発生しやすい状態を改善する根本的な取り組み。さらに、蒸れにくいおむつの開発なども一般企業と合同で行い、院内で商品化したのだとか。

これらの成果のひとつとして、鳥取大学医学部付属病院では患者と患者家族に向けて「床ずれ予防・治療のしおり」を提供している。そこで紹介されている注意点の項目をいくつか紹介しよう。

■床ずれ(褥瘡)予防の注意点
・骨の出ている部分(仙骨、肘、かかとなど)はマッサージしない
・体位交換の際に、服や皮膚を強く引っ張らない
・寝具を定期的に変えること。シーツは吸湿速乾性のものが望ましい
・おむつや尿漏れパッドを重ねると蒸れて褥瘡の原因になるので注意する
・連続してひとつの体位を取る時間は1時間まで

患者のひとりひとりに綿密に向き合うことで鳥取大学医学部付属病院は成果を出した。
地道な取り組み以上に効率的な工夫はないのかもしれない。
こうした予防措置で褥瘡発生率が減少すれば、患者だけでなく褥瘡ケアチームの負担軽減にも期待できるだろう。
作業療法士の提供するリハビリテーションは患者の日常生活に主な範囲を置いている。褥瘡予防で患者とのより建設的な関係性を構築できれば、患者の笑顔に接する機会も増えるはずだ。
ぜひ前向きに、患者が見せる日々の変化に対応して行ってほしい。

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