義手による救済のすそ野を広げる3Dプリンター

最終更新日:2018年9月26日

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作業療法士コラム

義手による救済のすそ野を広げる3Dプリンター

2015.12.21

筋電義手は身体の表面に流れるきわめて微弱な電流をスイッチとして稼働する装具だ。 その訓練に作業療法士は大きく関与している。
一般的な装具は自律的に動かない。しかし筋電義手は装着者の意思に沿って動く。
これが患者の人生に夢を与え、将来の可能性を広げる器具であることは間違いないだろう。 しかし、問題はその価格だった。
安くても150万円、果ては1000万円という大きな壁を、新しい筋電義手が打ち破ろうとしている。

日本から発信された義手革命

筋電義手の精緻な作りは価格の高さを容易に想像させるだろう。 だが、それは使用者の意思を反映しない装飾用義手でも変わらない。
肘関節以外は動かない固定式の義手を装着している患者の一例を挙げると、手のひら、骨格、ソケット、外側のウレタンフォーム、ライナーやクッションを併せて45万円。
消耗品の部分だけでも2万円から4万円はすると言うのだ。 四肢のいずれかを失った患者に対して、装具の負担はあまりにも重かった。
2015年春、日本から発信された新しい筋電義手はこうした費用が常識となっていた装具の世界に衝撃を与え、義肢装具者、そして彼らを支える人々の希望となりつつある。

材料費3万円の筋電義手

部品をそれぞれ制作することなく完成形をいきなり作り上げる3Dプリンターと言う機器がある。 ニュースでも取り上げられるなど話題に事欠かない機械だが、これとスマートフォンを組み合わせて作られる節電義手「handiii(ハンディー)」は1体3万円。
これまでの筋電義手に比べるとはるかに安価だ。
発表されるやいなやハンディーは世界で高評価を得、「JamesDysonAward国際2位」や「Gugenコンテスト大賞」などを受賞した。
制作会社の「exii(イクシー)」はソニーやパナソニックで経験を積んだ日本人エンジニアら3人が立ち上げた会社である。
ハンディーはデザインの自由性も高く、外観についても装着する本人の意向をより確実に反映できる製品になるだろう。

世界に広がる3Dプリンター筋電義手

日本のハンディーが注目されるようになった同時期に、手指が不自由な人々を支えようと集まったコミュニティ「E-nable」の活動も盛り上がりを見せるようになった。
ボランティアメンバーの手によってデザインデータを無償提供しようというのである。
「E-nable」はこれまでに20ドルから50ドルで800体以上の筋電義手を制作してきたチームであり、そのメンバーは自由に共有ソースを利用できるのだと言う。
ボランティアではあるが、所属するメンバーは義手デザイナー。研究者、エンジニア、作業療法士、学生や使用者家族など、知識も技術も非常に高レベルで結集している。その人数は今や5,000人。
日本ではまだまだ技術者が不足していてこれほどのムーブメントには遠いが、日本の装具業界に革命をもたらした「exii(イクシー)」の功績は決して小さなものではない。
これまでは経済状況を思って筋電義手をすすめられなかった患者に対しても、むしろ手軽で安価な装具として筋電義手を紹介できるようになるかも知れないのだ。
以前はこうした装具や医薬品などの新しいアイテムが一般に流通するまでに長い時間が必要だったが、世界に広がる安価な3Dプリンター筋電義手のムーブメントはとどめようのない勢いを持っている。
より多くの人々が筋電義手を選ぶ日が来た時、彼らの訓練を助けるのは作業療法士の役目だ。
その時に迷わず患者を導けるように、ぜひ今のうちに知識と経験を積んでおいてほしい。

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