筋電義手の未来と作業療法士

最終更新日:2018年2月25日

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作業療法士コラム

筋電義手の未来と作業療法士

2015.09.28

手足など、身体の一部を失った患者の社会復帰を助ける補助具の一種に「筋電義手」がある。
世界的にもまだまだ一般的というほど普及の進んでいる器具ではない。
というのも、世界的なシェアをドイツが独占しているために価格が高いままであるという現状が影響しているからだ。
少なくとも日本ではいまだに公的支援の手が行き届いていない。
今年4月には筋電義手への国の支援要望書が厚生労働省に受け渡された。
要望書作成に際しては事前に筋電義手を装着した患者が義手を自在に操作できるようになるまでの経緯を観察、記録して映像を作成しており、観察対象となった小児の姿に対して塩崎厚生労働大臣は感嘆の声を上げたという。
筋電義手の特性は義手、義足の世界を一新し、身体に欠落を抱えた人物に新しい扉を開く可能性がある。
現段階では個人が導入するためには大きな壁が立ちはだかっており、また、装着したとしても実生活に耐えるレベルにまで習熟するのは困難だ。
実用例が少なく、作業療法士はリハビリテーションに励む患者から多くを学ぶ必要がある。
義肢等補装具費支給制度を利用する場合の筋電義手導入の条件などの情報も後半で紹介したい。

筋電義手について

筋電義手は体表面で検知できる「表面筋電位」をスイッチとして意思を反映する機構を持つ。
つまり、通常の装具とは異なり、本来の身体のように動かせる可能性を秘めている。
この仕組みだけを見れば夢のような器具だが、今のところ十分に開発が進んでいるとは言い難いだろう。
操作性はまだまだ難しく、価格も高いため日本国内でこれを装着している患者は数えるほどに過ぎない。
しかし、リハビリに関わる現場では作業療法士や義肢装具士、医師、患者、大学などの研究機関が協力し合って新しい筋電義手の実現を目指している。
世界シェアの大部分を独占しているドイツ製筋電義手は一台150万円だ。国の補助がなければ、個人が導入するにはあまりにも負担が重い。
日本で義肢装具に対する公的補助を受けるには「使いこなせるかどうか」が判定の基準となるが、これまで筋電義手のためのリハビリテーションは自費で行うほかなかった。
要望書を提出した兵庫県立リハビリテーション中央病院は、医師、患者、研究者が協力し合って国産義手の製品化を目指す。
ドイツ製品が1台150万円であるのに対して、国産第一号の目標は1台50万円以下だ。 もしも実現すれば日本でも医療保険の対象となる可能性は高いだろう。

労災保険で筋電義手を使用する条件

兵庫県立リハビリテーション中央病院で筋電義手の習得までの経緯観察対象となったのは1歳から5歳の子ども3人だった。
小児は大人よりも物覚えが早い。身体を使った技術の習得も易しいはずだ。
だが手足を失うのは子どもばかりではなく、工場などリスクの高い現場で働く社会人は仕事の中で事故に遭い、手足を失うことがある。
現在リハビリ病院で支援員として働く小寺正健さんもその一人だ。 彼は2000年、35歳の時に勤めていた食品加工会社で右手の手首から先を失った。 しかし当時の労働者災害補償保険法では筋電義手購入に対して補助金は支給されなかったため、1台150万円の器具も、リハビリテーションの費用も、すべて自己負担になってしまう。
作業療法士と二人三脚の訓練を続けながら小寺さんは幾度も労働基準局に通い、ついに3年後に「身体障害者福祉法」の基準外交付制度を利用して自分の筋電義手を持つに至った。

■ 義肢等補装具費支給制度
・ 支給種目
義肢、筋電電動義手、上肢装具及び下肢装具、体幹装具、座位保持装具、盲人安全杖、義眼、眼鏡、点字器、補聴器、人口咽頭、車いす、電動車いす、歩行車、収尿器、ストマ用装具、歩行補助杖、かつら、浣腸器付排便剤、床ずれ防止用敷きふとん、介助用リフター、フローテーションパッド、ギャッチベッド、重度障害者用意思伝達装具

・ 筋電義手にまつわる特記事項
筋電義手の装備に関しては、支給のための要件として、訓練期間は最大16週間と定められている。四肢切断部位の状態が筋電義手の装着に適合すると判定されること、そしてその上で最短10週間、最大16週間以内に筋電義手の扱いに習熟することが条件となる。

兵庫県では小寺さんが支給第一号だった。 前例がなくてもいずれ道は開けるという希望を持って、筋電義手の将来を考えたい。

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