認知症患者と向き合う

最終更新日:2018年4月20日

Select Language >>

0120-978-003
月~土 9時~18時 / 夜間・日・祝は受付のみ
作業療法士コラム

認知症患者と向き合う

2015.08.11

認知症は治らない、という常識がある。
もしかしたらこれからはその常識が覆るかもしれない。
このほどイギリス・マンチェスターで行われた「アルツハイマーズ・ソサイエティ」の研究学会で行われた発表によって、既存の医薬品の中から脳の退化を止める効果があるものが発見されたとわかったのだ。
当該の医薬品は2種類あり、すでに認可され一般に普及している。しかし、これまで認知症の対応薬としての応用の可能性は考慮されていなかったと言う。

これまでの一般的な認知症の治療

アルツハイマー型認知症に対する治療は、根本的な要因を解消する薬品が存在しないこともあり、患者の心身のケアや、病気進行を遅らせる非薬物療法、薬物療法、そして家族のケアに終始していた。
この治療においては初期治療が重要視され、地域包括医療によって連携が組まれ、作業療法士、理学療法士、ケアマネージャーなどがチームになって治療に当たることになる。
特に有効性を期待されるリハビリテーションに「脳活性化リハビリテーション」などがあり、薬物の効果のみに依存しない治療でも認知症への積極的な対抗は出来るのではないか、という可能性を模索している状況だ。
脳活性リハビリテーションは「回想法」「音楽療法」「美術セラピー」「アニマルセラピー」「学習療法」「アロマセラピー」「タッチセラピー」など、それまで眠っていた脳神経に刺激を与える多角的な療法を組み合わせて行う。
それによって休眠神経細胞が目覚めれば、破壊された脳細胞の働きを代替してくれるためにアルツハイマーの進行を遅らせることが出来る。だがこれはあくまで脳細胞を活性化させ、失われた機能を既存の期間で補う手法に過ぎない。
脳の神経細胞の破壊が治まる訳ではないのだ。

認可済みの医薬品に見いだされた効果の可能性

今回発見された医薬品の効果は、ブリオン病に罹患したマウスに対する実験によって証明されている。
ブリオン病はアルツハイマー病のモデルとして使用される病気で、病理退行変化が特徴的だ。その防御反応メカニズムには体内酵素の働きが関係しており、その反応を止める事が治療薬に求められていた。
当該の医薬品成分の使用によって「Perk」という酵素の働きは抑制される。
このことから、脳細胞の死滅や記憶喪失の予防に確かな効果が期待できる薬品であることは間違いない。
しかし、この薬品のアルツハイマー症に対する実用化にはまだまだ壁が立ちはだかっているようだ。
多くの認知症の治療薬に共通する問題として、副作用は看過できる要素ではないだろう。特に重篤な障害が起こるかもしれないとなれば、実用化は難しいと言わざるを得ない。
しかし、この薬品の可能性を発表した研究団体は2年間をかけて数百種類の医薬品を検証し、脳に影響をもたらすものを探してきた。
その結果、最も有力だったのが今回発表された2種類の医薬品なのだ。
薬剤の副作用問題は、成分の調整次第で解決できる。今まさに、その研究へと研究チームは進んでいるという。
現在の医薬品研究はすさまじいスピードで進化し続けている。
今から2年から3年以内に、世界で初めての完全な認知症の治療薬が認可される可能性は高い。
根本治療が可能となる薬品が完成すれば、先の見えない戦いを繰り広げてきた対認知症のリハビリテーションにも強い希望を持って取り組めるようになるはずだ。
認知症患者とその家族にとって、医師や理学療法士、作業療法士が本当の意味で希望の光となる日が近いうちにやってくるのかもしれない。
もしそれが実現するならば、今こそ脳活性化リハビリテーションの手法を深化させ、現在認知症に苦しむ患者の病気進行をより効果的に食い止める努力をする時なのではないだろうか。

■メドフィットが納得の転職を実現します!
⇒作業療法士の求人一覧

関連コラム