間接リウマチ向けの薬剤の開発
2015.05.14
痛みや炎症を伴って関節に変形をきたす関節リウマチ。疼痛や関節のこわばり・障害、関節損傷の進行といった関節リウマチの症状に悩んでいる患者に付き添ってリハビリを行う作業療法士も多い。
アメリカのイーライリリー・アンド・カンパニーとインサイト・コーポレーションは、開発中の関節リウマチ向け薬剤である「Baricitinib」が、臨床試験の3段階目において有意な改善が見られたと発表した。
従来の薬剤で効果がなかった患者にとって、新しい治療の選択肢となり得る。
関節リウマチ
関節リウマチは、原因不明の免疫の異常により関節に腫れや痛みを生じて炎症が起きる全身性自己免疫疾患で、炎症が続くと関節の滑膜では、インターロイキン-1、インターロイキン-6、TNF-αなどのサイトカインが異常に多く分泌される。
個人差はあるが慢性的に症状が続く。
国内に70万人以上の間接リウマチ患者がいると推定され、年齢では30~50歳代に多く、男性よりも女性に起こりやすいと傾向がある。
関節リウマチでは薬剤による治療を行い、痛みや炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や免疫異常を改善する抗リウマチ薬(DMARDs)などを用いるが、それぞれ、胃炎や胃潰瘍、肝障害などの副作用を招くことがある。
開発中の薬剤「Baricitinib」
長期の関節リウマチ治療の最中である被験者3,000名以上を対象にしてBaricitinibを投与する臨床試験には、従来の薬剤が効果不十分だった患者や、または副作用に耐えられない患者が参加していた。
Baricitinibは1日1回の頻度で経口投与された。
この試験で、Baricitinibは関節リウマチの活動性を評価する項目である投与12週後の「ACR20」反応率で有意な改善を示した。
Baricitinib向けの臨床試験では主要5試験を行うが、そのうち4試験を2015年末までに完了する見込み。
国内での関節リウマチ治療薬の開発
国内でも新たな関節リウマチ向けの薬の開発が進んでいる。
東京医科歯科大学医学部附属病院では、増殖する滑膜細胞の抑制に着目した薬の開発を目指している。
免疫機能に着目してきた従来と異なるアプローチで、動物実験ではリウマチ症状をほぼ完全に抑えることに成功した。
まだ臨床応用には時間がかかるが、関節リウマチの治療を変えることに期待がかかる。
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