緑内障手術練習用の眼球モデル、ヒトの「強膜の感触」を再現

最終更新日:2019年5月21日

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視能訓練士コラム

緑内障手術練習用の眼球モデル、ヒトの「強膜の感触」を再現

2019.02.13

名古屋大学は1月18日、新井史人氏(同大未来社会創造機構教授)、小俣誠二氏(同大大学院工学研究科特任助教)の研究グループが、相原一氏(東京大学大学院医学系研究科教授)の研究グループ、光石衛氏(同大大学院工学系研究科教授)の研究グループ、三井化学株式会社と共同で行った研究によって、『眼科手術シミュレータ』に搭載可能な、ヒトの「強膜の感触」を忠実に再現した緑内障手術練習用眼球モデルを開発したことを発表した。

同モデルは、2019年1月11日の公開シンポジウム「バイオニックヒューマノイドが拓く新産業革命」、2月1~3日の「第42回日本眼科手術学会学術総会」で展示公開するほか、3月27~30日(豪州)の「World Glaucoma Congress 2019」にて学術発表する。

医師の手術手技を早期に体得するための『手術シミュレータ』

医師が手術手技を早期に体得することを目的に教育を行う際、人体構造を忠実に再現している「手術シミュレータ」の存在は重要である。

特に、難治療の手技は、若手医師が経験する機会が乏しいため、精巧な「手術シミュレータ」を開発することによって、その手技修得を促進することで、医療行為の安全性を高めるものと期待される。

このような状況から、多くのシミュレータが開発されている。

従来の『眼科手術シミュレータ』と『眼球モデル』に多くの課題

同研究グループでは、様々な手術が模擬できる共通プラットフォームとして、精密人体モデル「バイオニックヒューマノイド(R)」を構築。

同モデルは、生体計測に基づき、生体組織の特性を再現し、力や位置などの計測機能や、動作駆動機能を兼ね備えている。

また、同モデル構築の一環として、眼科手術のシミュレーションに特化した『眼科手術シミュレータ』と『眼球モデル』も開発

しかし、以下のような課題が残されていた。

・「眼球モデルの模擬強膜が、ゴムの塊などの単純構造である」
・「ヒト眼球と同等の1mmの中空薄肉構造を持たない」
・「適切な薄切り・縫合がともに練習可能な模擬強膜ではない」
・「緑内障の基本手術手技に対して実際の環境に即して訓練するための眼球モデルではない」

ヒトの強膜の感触を忠実に再現

同研究グループでは、これらの課題を解決するため、

・「厚みが1mmとなる柔軟かつ薄切りが可能な模擬強膜を中空の球状に成型する」
・「コラーゲン組織様の模擬的な繊維構造を形成して剥離性を模倣する」
・「薄切りした模擬強膜が不用意にちぎれずめくることが可能で、縫合を可能とする」

という要件をすべて同時に満たし、強膜の薄切りと縫合(古典的な流出路再建術)が可能な、緑内障手術の練習用眼球モデルを開発。

ヒトの眼の強膜組織を模倣する際には、繊維層(ミクロな繊維を豊富に含む)を幾重に重ねて、「コラーゲン線維の層状構造(強膜組織に多く含まれる)」の再現を試みた。

繊維層を層状の構造体とするにあたって、性質が異なる2種類の材料(繊維材料とエラストマー材料)を層状に統合し、生体を精緻に模倣した構造設計によって、ヒトの強膜の感触を忠実に再現した模擬強膜を開発した

動物実験ではできなかった医師の教育や訓練が可能に

今回開発した緑内障手術練習用眼球モデルは、研究グループが開発した眼科手術シミュレータ「Bionic-EyE(TM)」(Bionic eye surgery evaluator:バイオニックアイ)の「Bionic-EyE」に搭載可能。

新たに開発した模擬強膜を用いて、実際の強膜薄切りと同様の所作の再現が可能となった。

同研究グループは、ヒトの生体組織に忠実なモデルを使用することによって、動物実験では行えなかった医師の教育や訓練が可能となり、多くの緑内障患者の治療に役立つことが期待されるとしている。

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