アトピー性角結膜炎、慢性刺激に対する眼表面の生体防御

最終更新日:2019年9月20日

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視能訓練士コラム

アトピー性角結膜炎、慢性刺激に対する眼表面の生体防御

2019.01.11

順天堂大学は11月28日、松田彰氏(同大大学院医学研究科眼科学准教授)、海老原伸行氏(同教授)らの研究グループ(眼アトピー研究室)が行った研究によって、アトピー性角結膜炎(難治性かつ慢性重症)の患者の結膜組織の微量サンプルを用いた網羅的な遺伝子発現解析から、眼表面の『免疫グロブリン遺伝子』と『黄色ブドウ球菌感染に対する生体防御に関連する遺伝子群』の発現上昇を発見したことを発表した。

同研究成果は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」(電子版)で発表されている。

RNA-seq法で上眼瞼結膜の一部を解析

同研究グループは、「タクロリムス点眼薬」による治療(4週間以上)の効果がみられない難治性アトピー性角結膜炎患者を対象に、治療目的で上眼瞼結膜の一部を採取。

次世代シークエンサーを用いて、網羅的遺伝子発現パターン解析(RNA-seq法)を実施した。

解析の結果から、難治性アトピー性角結膜炎組織における発現上昇が確認された遺伝子(872個)のうち、『免疫グロブリン遺伝子』(47個)と、『黄色ブドウ球菌に対する生体防御に関わる遺伝子』(22個)が含まれていることを発見。

これらの遺伝子は、難治性アトピー性角結膜炎の病態と関連していることが強く示唆された。

また、過去にアトピー性角結膜炎の病態との関連について報告のあった遺伝子※の発現が上昇していることも確認。この中には、発現量が少なく、従来の方法では検出が困難だった遺伝子も含まれている。

※アレルギー性炎症関連サイトカイン(IL-4、IL-13、IL-33など)や好酸球、リンパ球、マスト細胞の活性化に関連する遺伝子、組織の瘢痕化に関連する遺伝子(ペリオスチン、テネイシンCなど)

RNA-seq法が、難治性アトピー性角結膜炎組織での遺伝子発現を網羅的・正確に解析するために有効であることが示された。

「アトピー性角結膜炎の難治化モデル」の仮説を支持する結果

「タクロリムス点眼薬」の作用は、免疫グロブリン産生を司どるリンパ球の活性化抑制である。今回の解析結果は、繰り返すアレルゲン刺激(慢性刺激)により、異所性リンパ器官の異常形成が起こることで、『免疫グロブリン遺伝子』の発現を抑制することが困難になることを示唆している。

さらに、『細菌に対する生体防御に関わる遺伝子』群の発現の上昇もみられる。これは、アトピー性角結膜炎が難治化するメカニズムでは、アレルゲンの慢性刺激によって、眼表面の生体防御機構が過剰に再構築されることを意味している。

同研究グループでは、以前より、「アレルゲンの慢性刺激による異所性リンパ器官の異常形成によって、炎症組織局所で免疫グロブリン産生を引き起こされる」というアトピー性角結膜炎の難治化の病態モデルを提唱していたが、今回の研究は、その仮説モデルを支持するもの。

眼表面の細菌叢への介入などの治療法の可能性を実験的に検証予定

同研究グループは、今後は、「眼表面組織での免疫グロブリン産生抑制による異所性リンパ器官の形成阻止」をターゲットとして、難治性アトピー性角結膜炎モデルマウスや新規治療法の開発に繋げる考えだ。

また、『黄色ブドウ球菌感染』とアトピー性角結膜炎の慢性化・難治化のメカニズムの関連を検証するため、黄色ブドウ球菌由来の毒素に着目した研究や、眼表面の細菌叢への介入などの治療法の可能性を実験的に検証する予定

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