「羊膜移植」に新たな眼病治療法としての期待

最終更新日:2018年4月20日

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視能訓練士コラム

「羊膜移植」に新たな眼病治療法としての期待

2018.01.09

目の結膜にできた腫瘍を除いて羊膜を移植する『羊膜移植』によって、拒絶反応を少なくしながら目を修復するという新たな治療法が注目されている。

「羊膜」は、母親のお腹の中で羊水に満たされた胎児を包んでいる半透明の薄い膜のことで、外部の衝撃から守り、母体からの拒絶反応を抑えるなどの役割を担うとされる。

この羊膜の移植によって、火傷を覆って皮膚を修復する治療や、手術後の臓器の癒着防止などに活用されており、治療が困難だった病気・傷の回復、炎症を鎮める効果などを見込んだ新しい治療法の開発も期待されている。

また、羊膜移植は、目の治療としても1995年頃から米国を先駆けとして広がった。日本国内では2003年に「高度先進医療」に認定されており、2014年には、治療が難しい目の病気を対象に保険適用もされた。(日本角膜学会によると、現在、約60の医療機関で羊膜移植が行われている。)

「目の腫瘍」や「翼状片」などに羊膜移植

羊膜移植の対象となるのは、「目の腫瘍」、「翼状片(結膜が異常に増殖して角膜まで広がる病気)」、「角膜表面(上皮)の火傷・損傷」、「異物の混入などで角膜が傷つき視力に影響がある」などのケースだ。

腫瘍や翼状片の手術では、羊膜を使うことによって傷が残りにくく、炎症も抑えられる効果がある。翼状片では、異常増殖した結膜を一度除去してもその後再発を繰り返すことも多いが、除去した部分に羊膜を移植することで再発予防につながるのもメリットだ。

また、角膜の火傷では、痛んだ表面に羊膜をコンタクトレンズのようにかぶせ、元の角膜が再生するのを待った後、再生後に羊膜をはずし、傷や穴は羊膜で埋めて修復する方法が取られる。

東京歯科大学市川総合病院(千葉県市川市)では、昨年12月に男性に羊膜移植を行い、男性は再び目に違和感があったため、今年9月に再手術を受けたが、その後は視力が回復するなど、経過は順調という。

角膜移植より拒絶反応は少なく、補完する治療としても期待

角膜の治療では、他人から提供された正常な角膜による『角膜移植』が行われている。

しかし、日本アイバンク協会によると、献眼件数は不足し、移植希望者は年間約5,000人いるのに対し、手術は約1,500件しか行われていないのが現状だという。そのため、羊膜移植が『角膜移植』を補完する治療になることも期待される

さらに、角膜移植では角膜全体を取り換えるが、『羊膜移植』では、元の角膜を残したまま再生を図る。そのため、角膜移植に比べて拒絶反応が少ないというメリットがあり、両者を組み合わせた治療を行うケースもあるという。

羊膜の有効活用による新治療法に期待

羊膜を必要とする医療機関は、角膜学会などが定めるガイドラインに沿って、帝王切開の出産を予定している妊婦から同意を得て提供してもらうことが可能になっている。

1回の出産で20~30人分の移植用羊膜が得られ、2年間の冷凍保存もできるのが特徴だ。また、常温での長期保存が可能な「乾燥羊膜」の製品化も進んでいる。

同病院などのように提供された羊膜を備蓄し、移植を実施する他の医療機関に提供する「羊膜バンク」も全国3ヶ所の大学に設置されている。

羊膜の効果のメカニズムでは解明されていない部分もあり、より有効な活用法を探る研究が必要になるが、元々捨てられていた羊膜を役立てられるようになるため、有効活用への期待は大きい。

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