自閉スペクトラム症児の脳の特徴に「視覚類推」能力向上

最終更新日:2018年2月19日

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視能訓練士コラム

自閉スペクトラム症児の脳の特徴に「視覚類推」能力向上

2016.11.09

「自閉症スペクトラム(ASD)」は、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性の発達障害を含んだ総称を指すが、対人関係・コミュニケーションやこだわり(想像力)での障害が特徴として現れる。

金沢大学(石川県金沢市)では、文部科学省・科学技術振興機構「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の一環で、三邉義雄氏(金沢大学子どものこころの発達研究センター長、医薬保健研究域医学系教授)らの研究グループがカナダ・モントリオール大学(ケベック州)との共同研究プロジェクトを推進し、「幼児用脳磁計(MEG)」を活用した自閉スペクトラム症児の脳機能研究を行ってきたことを発表した。

今回の発表によると同プロジェクトによって、自閉スペクトラム症児では後頭部と前頭部の間(視覚野領域)において脳機能結合が強まることで「視空間」・「視覚類推」の課題遂行能力が高いことが示された。

同研究成果は今年9月16日付けの米国科学雑誌「 The journal PLOS ONE」(電子版)に掲載されている。

自閉スペクトラム症(ASD)児の視覚性に注目

ASDは、3歳くらいまでに現れる広汎性の発達障害を含む総称であるが、その中でも例えば、「自閉症」の発症率は1000人に1~2人の割合とされており、その程度には大きな個人差があるものの「目を合わせるのが苦手」、「言葉の遅れやオウム返しが多い」、「こだわりが強い」、「パニックを起こす」などの対人関係やコミュニケーションでの特徴が見られる。

また、「アスペルガー症候群」では、会話能力は正常で知的な障害は見られないものの、「社会的ルールの理解が苦手で場の空気が読めない」、「思ったことを言う」、「強いこだわりを持ち、興味を持った対象への集中力・記憶力が優れている」などの特徴を見せることで、自己中心的と誤解されやすい。どちらも男の子に多く見られる

一方でこのようなASD児には、視覚性の問題解決能力が優れているケースが見られることも分かっていた。

ASD児の脳内の視覚野と他部位の脳機能結合に特徴

成人のASD患者の中には,視覚性の問題を解く能力が優れた人がいるが、モントリオール大学の研究グループでも成人のASD患者では、脳の視覚野が視覚性の課題遂行能力で重要な役割を担っていることを明らかにしてきた。

一方、幼児においては脳の研究が困難であるとされてきたが、今回、幼児用MEGにより幼児でも優しい脳機能検査方法で調べる事ができたため、これまで調べることが困難であったASD児の脳内ネットワーク発達の特徴を突き止めることになった。

そこで同プロジェクトでは、幼児用脳磁計(MEG)により、ASD児を対象に脳の神経活動を検討している。4〜10歳の健常児とASD児それぞれ18名を対象に測定した結果、ASD児は「視覚野」から脳の他部位へのガンマ帯域を介した機能的結合が強いほど視覚性の課題解決に優れることが判明した。

幼児用MEGは超伝導センサー技術(SQUID磁束計)を用いて幼児の頭のサイズに合わせ、頭皮上から頭全体を包んで脳の微弱磁場を計測する脳磁計。脳や体に害を発生させずに高感度で神経活動を記録する。

「視空間」や「視覚類推」などの課題遂行力が高い

今回の研究結果からASD児においては、視覚野から他の部位への機能的結合が強いほど「視空間」と「視覚類推」といった視覚性の課題遂行能力が高いことが世界で初めて示された。

この成果について同プロジェクトでは、幼児の脳の個性を「見える化」するひとつのステップになったとしている。

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