iPS細胞由来の視細胞で網膜色素変性の治療確立へ、理研

最終更新日:2018年2月18日

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視能訓練士コラム

iPS細胞由来の視細胞で網膜色素変性の治療確立へ、理研

2016.02.18

さまざまな再生医療に応用できることから「万能細胞」とも呼ばれるiPS細胞(人工多能性幹細胞)。 患者自身の皮膚などの細胞を利用できるため拒絶反応が少ないとされ、近年注目が集まっている。
同じように全身のさまざまな細胞に分化して増殖する能力を持っており、「万能細胞」とされる細胞に「ES細胞(胚性幹細胞)」がある。
理化学研究所多細胞システム形成研究センター(CDB、神戸市中央区)の網膜再生医療研究開発プロジェクトチーム((高橋政代プロジェクトリーダー)は、ヒトのES細胞から目の視細胞のシートを作り、サルの目に移植する研究において世界で初めて成功したと発表した。
この研究成果は米科学アカデミー紀要((Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)(電子版)に掲載された。
今回の研究は、目の難病である網膜色素変性によって損傷した目の網膜細胞を再生する治療法の確立を目指す一連の研究におけるものだ。

ES細胞(胚性幹細胞)

ES細胞は臓器や組織などのさまざまな異なる細胞に分化して増殖する能力を持つ細胞で、受精卵の初期段階である胚由来の細胞(Embryonic Stem cell、胚性幹細胞の略)である。
ES細胞から全身の細胞を作り出すことができるため万能細胞とも呼ばれ、損傷した臓器や組織の修復などの「再生医療」への応用に役立つとして研究されている。
しかし一方で、ES細胞を採取することは受精卵を殺すことになるため倫理的側面では問題を抱えている。
その点でiPS細胞は、皮膚や髪の毛などからでも作成が可能であるためこの倫理的問題はクリアしている。

網膜色素変性

網膜色素変性は光を感じる組織である網膜、とりわけ視細胞の異常によって視野が狭くなる遺伝性の難病で、国内には約5万人の患者がいるとされる。
その50%が遺伝により発症しているとされるが、まだ根本的な治療法は確立されていない「不治の眼病」だ。
同研究グループでは過去に、iPS細胞を活用して視細胞に隣接する網膜色素上皮細胞のシートを作り、同じように目の難病である「加齢黄斑変性」の患者に移植する実験を行っていた。
(視能訓練士コラム :iPSによる「加齢黄斑変性」手術も参照)

また、2014年4月にはiPS細胞とES細胞から作った網膜細胞をマウスに移植することにも成功していたため、今回はより人に近いサルに移植することにした。

2018年度にも網膜色素変性の治験へ

今回同研究グループが成熟する途中の視細胞で作ったシートをサルに移植した結果、その後視細胞は成熟し、正常な構造を保ちながら他の細胞とつながったことを確認したという。
同センターでは今後人への応用ができるようにiPS細胞から作った視細胞も同様にサルに移植して、正常に成熟するか観察する方針だ。
さらに今後2018年度を目途にしてES細胞とiPS細胞の両方で網膜色素変性の患者に対する臨床試験(治験)を目指すともしている。

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