「細胞外ATP代謝」の破綻から亜鉛欠乏症に

最終更新日:2019年11月20日

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看護師コラム

「細胞外ATP代謝」の破綻から亜鉛欠乏症に

2018.10.22

京都大学は8月28日、神戸大朋氏(同大大学院生命科学研究科准教授)、武田貴成氏(同博士後期課程学生)、駒井三千夫氏(東北大学教授)、川村龍吉氏(山梨大学教授)らの研究グループによって、『亜鉛』の不足が、「細胞外ATP(アデノシン三リン酸)の蓄積」や、「アデノシン(ATPの分解産物)の減少」を引き起こすことを世界初で明らかにしたことを発表した。

同研究成果は、英科学誌「Communications Biology」(電子版)に掲載された。

皮膚炎・脱毛など、亜鉛欠乏症で様々な症状

体内に約2g含まれる『亜鉛』は必須ミネラルだ。

体内の『亜鉛』が不足する「亜鉛欠乏症」では、皮膚炎や脱毛、味覚障害や下痢など、様々な症状が起こる。

しかし、その詳しいメカニズムに関しては不明なままだった。

『亜鉛』と「細胞外ATP代謝」の関連性を研究

今回の研究では、「亜鉛欠乏症」の症状と「細胞外ATP代謝」の破綻時に見られる症状に共通点が多く、また、「細胞外ATP代謝」で機能する分解酵素(ENPP、CD73、ALP)の多くは、亜鉛要求性酵素であることに着目

同研究グループは、『亜鉛』の欠乏によりこれらの酵素活性が低下し、「細胞外ATP代謝」が弱まることが、「亜鉛欠乏症」の症状に関連しているのではないかと推測した。

培養細胞とラットを用いた実験から、通常ラットと亜鉛欠乏ラットで、それぞれの各酵素活性(ENPP、CD73、ALP)、細胞外ATP代謝がどのように変化するのか比較。

実験結果では、培養細胞の膜画分、ラットの血漿で、亜鉛欠乏ラットでは各酵素活性が低下、「細胞外ATP代謝」が遅延していることが判明した。

亜鉛欠乏状態では、細胞外ATP分解活性が低下し、これに伴い、アデノシン産生も低下することを示すことに成功。

また、このラットの各酵素活性の低下や細胞外ATP代謝の遅延は、数日の亜鉛欠乏食の摂取で生じたもので、一日分の亜鉛十分食を摂取することで、この低下した活性は劇的に回復する、非常に鋭敏な応答だったという。

細胞外ATP代謝での『亜鉛』の機能についてのさらなる知見に期待

今回の研究結果は、『亜鉛』と「細胞外ATP代謝」が、亜鉛要求性酵素の機能を介して、密接に関連することを示している。

また、 「細胞外ATP代謝」が破綻することが原因となって、亜鉛欠乏症における多様な症状を引き起こしていることを強く示唆している。

同研究グループでは、亜鉛の細胞外ATP代謝への影響を明らかにできたため、今後は、実際の多様な亜鉛欠乏症の症状において、両者がどのように関連しているのか詳しく検証していくことが必要だとしている。

また、細胞外ATP代謝における亜鉛の機能についての知見がさらに解明されていくことが期待されるとしている。

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