『対人恐怖症』の8割の患者に「認知行動療法」が有効

最終更新日:2020年2月26日

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看護師コラム

『対人恐怖症』の8割の患者に「認知行動療法」が有効

2016.07.27

人前で話をすると極度に緊張し、人とコミュニケーションを取ることに対して、「嫌われてしまうのでは」、「不快感を与えてしまうのでは」などの過度な不安感や恐怖心を持ってしまう『対人恐怖症(社交不安症)』。抗うつ剤などの対処療法を行うが、薬の効果が十分でないケースも多い。

今回、宮崎大学と千葉大学の共同研究グループでは、このような薬が十分に効かない対人恐怖症の患者でも、「認知行動療法」によって症状を改善させられることを臨床試験で確認したと6月7日に発表した。同研究成果は、5月27日付けの欧州医学雑誌Psychotherapy and Psychosomatics誌(電子速報版)に掲載されている。

対人恐怖症(社交不安症)

『対人恐怖症(社交不安症)』は、「人前で食事ができない」、「人の注目を浴びるのが怖い」など、人との「交流」で著しい不安や恐怖を生じる精神疾患とされる。就業が困難になり、日常生活に関わる障害の大きさを考えると重大な疾患で、労働や経済にも多大な影響を与えているという。

これまで、この対人恐怖症の治療は抗うつ薬を用いた薬物療法が主で、世界的にも標準的な治療法とされていた。しかし一方で、患者の7~8割が抗うつ薬治療だけでは十分な改善を示さないことが課題とされていた。

認知行動療法で症状が改善、半数近くは症状がほぼ消失

今回研究グループでは、投薬治療の効果が現れていない患者42人を対象に、4ヶ月間、「投薬のみ(通常治療)」のグループと「投薬に週1回の認知行動療法を併用する」グループの2群に分けて、それぞれの症状の変化を調査した。

その結果、「投薬のみ」のグループでは治療反応率が1割だったのに対し、「投薬に週1回の認知行動療法を併用する」グループでは8割以上となった。また、寛解率(症状の軽減・改善)では、「投薬のみ」のグループでは全く見られなかったが、認知行動療法を併用したグループでは、約半数(47.6%)にまで上った

4月からは認知行動療法に保険が適用、専門家育成が課題

今回の研究結果を受けて、今年4月からの公的医療保険(2016 年度の診療報酬改定)では、「認知行動療法」の対象疾患と認められ、この『対人恐怖症(社交不安症)』の治療に保険が適用されるようになった。(保険適用の要件として、同研究で作成・使用された認知行動療法マニュアルに従って治療が実施された場合に限る。)

「認知行動療法」では、患者は面接などを通じて治療者との会話をしながら自身の行動を考えて、行動の幅を広げるが、専門家は全国に100人程度と適切な対応をできる治療者はまだまだ少ない。

そのため、今後は認知行動療法の普及を目指し、治療者の養成・研修制度の整備、 認知行動療法の長期的・医療経済的効果に関する評価、脳科学的な作用機序の解明などの研究が期待される。

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