難病・『慢性活動性EBウイルス感染症』の原因とがん化のメカニズム

最終更新日:2019年5月21日

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臨床検査技師コラム

難病・『慢性活動性EBウイルス感染症』の原因とがん化のメカニズム

2019.03.06

名古屋大学は1月24日、奥野友介氏(同大医学部附属病院先端医療開発部特任講師)、木村宏氏(同大大学院医学系研究科ウイルス学教授)、村田貴之氏(藤田医科大学ウイルス・寄生虫学教授)、小川誠司氏(京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学教授)、宮野悟氏(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター教授)らの研究グループによって、原因不明の難病である『慢性活動性EBウイルス感染症』の遺伝子解析を行い、その原因を解明したことを発表した。

同研究成果は、Nature Publishing Groupの科学誌「Nature Microbiology」(電子版)に掲載されている。

限られた一部の人に、がんや難病を発症させる「EBウイルス」

95%の人が成人までに感染するウイルスの一種に「EBウイルス」がある。

通常、風邪のような症状を引き起こすだけで治癒するが、ごく一部には、EBウイルス関連がんや難病を発症するケースがある

しかし、このように一部の人にだけに重大な病気を発症させる原因は、これまで明らかになっていなかった。

日本国内で年間約数十人が発症する難病・『慢性活動性EBウイルス感染症』

「EBウイルス」が原因となって発症する難病・『慢性活動性EBウイルス感染症』は、日本国内で年間約数十人が発症しているものの、その原因は不明だ。

「EBウイルス」の感染に伴う炎症は、本来は数週間程度で収まるはずが、同難病は、何年間も持続する。また、蚊アレルギーや種痘様水疱症などの症状もみられる。

「EBウイルス」に感染した細胞は、多臓器に侵入しての破壊や異常増殖しての白血病のような状態を引き起こすなど、命にかかわる様々な合併症を招く。

治療には、抗がん剤治療や造血細胞移植が有効だが、移植を受け付けないケースもある(診断から15年生存できる可能性は「25%」)

これまで病気の原因に挙げられたのは、「免疫系の異常でEBウイルスを排除できない可能性」や、「特別なタイプのEBウイルスが、それらの病気を引き起こしている可能性」などだ。

「EBウイルス」の遺伝子欠損が様々な血液がんを引き起こす

同研究グループは今回、慢性活動性EBウイルス感染症の患者(80人)を解析(次世代シーケンサー)し、原因の解明を試みた結果、EBウイルスが感染した血液細胞の遺伝子に、「DDX3X遺伝子(EBウイルスが関与する血液がん(バーキットリンパ腫や節外性NK/T細胞リンパ腫)でよく変異が見られる遺伝子)」に変異が集積していることが明らかになった。

これは、「慢性活動性EBウイルス感染症が血液がんの一種である」ことを明らかにするものだ。

また、病気が進行した後に、血液がんのような状態になった患者を対象に遺伝子解析を行った結果、病気の進行と合わせて、EBウイルスに感染した血液細胞が、様々な遺伝子変異を獲得していることが判明。

特に「DDX3X 遺伝子変異」には異なる3種類の遺伝子変異が生じており、同疾患が進展する際において重要な役割を果たすと考えられるという。

EBウイルスの遺伝子解析を行った結果からは、『慢性活動性EBウイルス感染症』に関わるEBウイルスがいくつかの遺伝子を失っていることが判明。異常活性した同ウイルスが、がんを発症させることが明らかになった。

これらの遺伝子を失ったEBウイルスは、他の血液がん(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫)においても確認され、同様なメカニズムで、様々な血液がんを発症させることが判明したという。

病気の治療への応用に向けてさらなる研究が必要

今回の研究で、『慢性活動性EBウイルス感染症』の原因と、一部の人にがんを引き起こすメカニズムが明らかにされた。

同研究グループでは、今後、今回の発見を病気の治療に役立てるためには、『慢性活動性EBウイルス感染症』で見つかった遺伝子変異に対する特別な治療薬の効果の検証(肺がんなどですでに臨床応用されている、PD-L1遺伝子変異に対する免疫チェックポイント阻害薬など)や、遺伝子変異の有無によって治療法の効果に違いがないかの検討(抗がん剤治療や造血細胞移植を受けた患者の遺伝子解析)など、さらなる研究が必要である。

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