肝細胞がん、分子生物学的・免疫学的に大きく3サブタイプに分類

最終更新日:2019年4月25日

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臨床検査技師コラム

肝細胞がん、分子生物学的・免疫学的に大きく3サブタイプに分類

2019.02.12

東京医科歯科大学は1月11日、田中真二氏(同大大学院医歯学総合研究科分子腫瘍医学分野教授)、島田周氏(同大大学院医歯学総合研究科 分子腫瘍医学分野助教)、茂櫛薫氏(同非常勤講師)、秋山好光氏(同講師)の研究グループが、田邉稔氏(肝胆膵外科教授)、Jack R Wands氏(米ブラウン大学肝臓研究センター教授)と共同で行った研究によって、肝細胞がんは、分子生物学的および免疫学的に大きく3つのサブタイプに分類されることを新たに発見したことを発表した。

この研究は、同大学および国際共同プロジェクト「The Cancer Genome Atlas(TCGA)Network」のオミックスデータを利用したもの。

同研究成果は、国際科学誌Lancet誌とCell誌の共同オープンアクセスジャーナル「EBioMedicine」(電子版)に、2018年12月29日付で発表された。

背景因子・分子病態に最適化された治療は未確立

肝細胞がんは再発が多いがんである。また、がん死亡原因では、日本国内では5位、世界的にみると2位にまでなっている。

肝細胞がんの背景因子としては、「B型肝炎ウイルス、「C型肝炎ウイルス」、「アルコール性肝障害」、「非アルコール性脂肪肝炎」などがあり、さまざまな発症パターンがあることが知られているものの、このような背景因子・分子病態に基づく治療法は未だ確立されていない

これまでに分子病態の観点から肝細胞がんを分類した研究もあるが、「遺伝子発現データのみ」に基づいた研究であり、最適化は不十分だった。

肝細胞がんの遺伝子変異・DNAメチル化データ解析、新たなサブタイプ分類

同研究グループでは、肝細胞がんの遺伝子発現データ(東京医科歯科大学で外科的に切除された183検体を対象とする)について、コンピュータを用いて教師なし階層的クラスタリング解析を行い、そのうち33検体について遺伝子変異データとDNAメチル化データを統合的に解析した

解析結果からは、肝細胞がんは、「MS1サブタイプ(TP53遺伝子変異があり、増殖性・幹細胞性が強い予後不良サブタイプ)」、「MS2サブタイプ(CTNNB1遺伝子変異があり、DNAメチル化レベルが高いサブタイプ)」、「MS3サブタイプ(肥満や糖尿病などのメタボリックシンドロームと関連が強いサブタイプ)」の3サブタイプに分類された(TMDU研究)

また、TCGAプロジェクトの肝細胞がん373検体を対象にして、同様の解析を行った結果では、同じく3つのサブタイプに分類された。

また、「MS1サブタイプ」では染色体不安定性が強まり、「MS2サブタイプ」はがん免疫が抑制され、「MS3サブタイプ」には『MS3i』と呼ばれる予後良好サブタイプ(炎症反応が強く、免疫チェックポイントに関与する「PD-1/PD-L1経路」が活性化)が存在していることも判明した(TCGA研究)。

がんの再発とサブタイプの関連性について解析

さらに、同研究グループでは、再発とサブタイプの関連性についての解析も実施。

肝細胞がんの再発においては、『肝内転移型(IM)』と『多中心性再発型(MC)』の2形式がある。

今回対象にした検体をこの2形式に分けたところ、『IM』では、その遺伝子変異パターンとDNAメチル化パターンが初発・再発間でよく似ている(従来知られている通り)が、『MC』では、遺伝子変異パターンが全く異なり、DNAメチル化パターンは似ていた

一方で、初発・再発肝細胞がんを、新たなサブタイプで分類すると、当初予想されていた再発形式(IM・MC)とは無関係で、再発時のサブタイプは初発時のサブタイプに依存することも明らかになった。

次世代の「肝がんゲノム医療」の基盤に

今回の研究結果は、遺伝子解析により分類された分子生物学的および免疫学的特徴に基づいて分子標的治療や免疫治療を最適化する、いわゆる「次世代の幹細胞がんゲノム医療」の基盤になると考えられる。

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