『3Dプリンティング』で作る入れ歯を実用化

最終更新日:2018年11月15日

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臨床工学技士コラム

『3Dプリンティング』で作る入れ歯を実用化

2018.08.23

産業技術総合研究所は7月19日、岡崎義光氏(産総研健康工学研究部門生体材料研究グループ上級主任研究員)が、株式会社アイディエスと共同で行った研究によって、患者に最適な人工歯を用いた歯科治療を可能にする『3Dプリンティング用コバルトクロム合金粉末』の薬事承認を取得したことを発表した。

「人工歯」の使用割合が急増

健康維持や疾病の改善には、「口腔内環境の改善」が効果的であることが分かっているが、40才以上における一人当たりの「平均喪失歯数」は近年急増している

そのため、単一および複数の「人工歯(クラウン・ブリッジ)」を用いた治療のほか、「部分義歯(部分入れ歯)」や「総義歯(総入れ歯)」など、複雑な立体構造を有する人工歯の使用割合が急増

一方で、人工歯は繰り返し噛むことによる破損が増加しているほか、口腔内外でのアレルギー症状も多数みられる。

そのため、人工歯の製造では、口腔内に存在し、アレルギー反応の少ない単一材料での一体製造が求められている。

この人工歯の作製に用いる「歯科材料」は、医薬品医療機器等法に基づき認証されるものだ(通常、第三者認証機関による)。

現状では、積層造形した人工歯(補綴修復物)は、製造方法が「新技術」に該当するため、認証品目としては取り扱えず、厚生労働大臣からの認可を要する(医薬品医療機器総合機構による審査が必要)ため、歯科材料製造販売業者などが薬事製造販売承認申請を躊躇するケースも見られる。

三次元積層造形技術による「歯科デジタルものづくり」

今回、産総研はアイディエス(歯科材料製造販売業者)と共同で、『3Dプリンティング』技術を活用した人工歯の実用化を行った。

これは、三次元積層造形技術による「歯科デジタルものづくり」の早期実現に向けた取り組みだ。

産総研は、積層造形材のミクロ組織・耐久性などの力学的安全性評価を実施。

臨床使用に必要になる歯科材料の医療機器承認を得るため、アイディエス社が積層造形用コバルトクロム合金粉末の薬事製造販売承認申請を担当。

2018年4月27日、「三次元積層造形用コバルトクロム(Co-Cr-Mo-W)合金粉末」は厚生労働大臣から医療機器として製造販売承認を取得(国内初となる「クラス2」)

今回の両者の協力による開発は、承認申請から厚生労働大臣承認まで1年未満の短期間で承認となった。

今回開発した技術が、「デジタル歯科技術」の発展に貢献し、IoT技術との連携によって、遠隔地域での利用もできるようになることが期待される。

「コバルトクロム合金の国産粉末」での認可やチタン材料での人工歯の開発

積層造形技術は、「コバルトクロム合金粉末」を使用するが、繰り返し再利用できるため、材料の無駄は少なく環境にやさしい。

また、コバルトクロム合金の鍛造加工と比較して低コストの製造技術であり、夜間に造形すれば、翌日には仕上げ加工できるなど、製造期間は1/3以下にまで短縮可能だという。

これによって、歯科技工所の閉鎖や技工士の高齢化に歯止めをかけるとともに、技工所の労働環境の改善や歯科大学などでの教育ツールとしても活用でき、歯科デジタル化の普及や歯科技工の魅力向上が期待できる。

同研究グループでは、今後、積層造形技術の保険適用を目指すとともに、新材料としてはコバルトクロム合金の国産粉末での認可や、敏感なアレルギー患者へも配慮したチタン材料での人工歯の開発を目指すとしている。

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