インスリン治療に活用する「人工膵臓デバイス」を開発

最終更新日:2018年6月20日

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臨床工学技士コラム

インスリン治療に活用する「人工膵臓デバイス」を開発

2018.01.26

近年、糖尿病患者に対する「インスリン治療」では、インスリンポンプの普及が顕著になっている。

これは、携帯電話や携帯音楽プレイヤーほどの大きさである携帯型小型機器(インスリンポンプ)を用いて、24時間を通じて持続的に不足するインスリンを皮下に注入する治療法だ。

しかし、このインスリンポンプによる治療においては、「患者に及ぼす身体的・心理的負担」や「機械特有の補正・メンテナンスの必要性」、「医療経済上の問題」など改善すべき多くの課題が残っている。

そこで、機械や電気駆動を必要としない(エレクトロニクスフリー)、「人工膵臓」(自律型のインスリンポンプ)の創出が求められていた。この「人工膵臓」の創出は、従来、タンパク質(グルコースオキシダーゼやレクチンなど)を基材として試みがなされてきたが、タンパク質変性に伴う不安定性・毒性は不可避であり、生体由来材料の限界からも未だ実用化には至っていなかった。

東京医科歯科大学は11月21日、松元亮氏(同大生体材料工学研究所バイオエレクトロニクス分野准教授)と宮原裕二氏(同教授)、菅波孝祥氏(名古屋大学教授)と田中都氏(同助教)らの研究グループが、世界初のエレクトロニクスフリーかつタンパク質フリーなアプローチによって人工膵臓デバイスを開発し、糖尿病モデルマウスでの医学的機能実証に成功したことを発表した。

今回の研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「大学発新産業創出プログラム」および研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」ならびに国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「産学連携医療イノベーション創出プログラム(ACT-M)」などの支援を受けて行われたもので、同研究成果は、11月22日付けの国際科学誌「Science Advances」(電子版)に掲載された。

タンパク質を使用しないアプローチで「人工膵臓」を創出

今回、同研究グループでは、「人工膵臓」の創出においてタンパク質を一切使用しない、完全合成材料のみでのアプローチを考案

ボロン酸(グルコースと可逆的に結合)を高分子ゲルに化学的に組み込み、さらにこれを一本のカテーテルに搭載することで、皮下挿入が容易で、かつ「人工膵臓」機能を発揮する自律型のインスリン供給デバイスを開発することに成功。

1型・2型糖尿病マウスにおける糖代謝を3週間以上制御

実際、健常および糖尿病モデルマウスの皮下に当該デバイスを留置することでインスリンの供給(クローズド・ループ型)を達成。

連続的な血糖値検知及び血糖値変動に応答した拡散制御(スマートゲル表面で形成される「スキン層」と呼ばれる含水率変化)からなるフィードバック機構によって、インスリン供給が調整されるという。

その結果、1 型糖尿病(インスリン欠乏状態)および 2 型糖尿病(インスリン抵抗性状態)のいずれの病態においても、同デバイスは3週間以上の持続性を持ちながら、糖代謝を良好に制御することを実証したという。

糖尿病におけるアンメットメディカルニーズの解決などに期待

今回の研究成果から、同研究グループでは、糖尿病における問題(低血糖の回避、血糖値スパイクの改善など)のアンメットメディカルニーズの解決に加えて、機械型と比較して極めて安価かつ使用負担が軽減されるインスリン供給を実現するために、今後、臨床応用へ向けた開発的研究が期待されるとしている。

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