活性酸素除去機能付きの「タンパク質マイクロマシン」を開発

最終更新日:2018年10月23日

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臨床工学技士コラム

活性酸素除去機能付きの「タンパク質マイクロマシン」を開発

2017.12.22

近年、血管や臓器の中で働くナノマシンやマイクロマシンなどを活用して、病気の診断、病変部への薬の投与、有害物質の除去などを行う新たな治療法が注目されている。

このような体内で働くナノ・マイクロマシンは、体に無害・安全性の高い素材で作られ、治療における役割を終えた後は、体内で自然に分解されてなくなるのが理想的とされる。

産業技術総合研究所は11月17日、山添泰宗氏(同研究所バイオメディカル研究部門次世代メディカルデバイス研究グループ主任研究員)らの研究グループが、3種類のタンパク質だけからなり、活性酸素を除去できる高機能なマイクロメートルスケールの構造体である『タンパク質マイクロマシン』を開発したと発表した。

同研究成果は、学術誌「Biomaterials」に掲載されている。

構造が壊れやすく、取り扱いが困難な「タンパク質」

「タンパク質」は、生体の主要な構成成分であるため、生体適合性・生分解性があり、結合、触媒、伝達、輸送など体内の多岐に渡る機能を持っている。

そのため、「タンパク質」は、安全で高機能なナノ・マイクロマシンの素材として有望になってくる。

しかし、多くのタンパク質は、少しの刺激によって本来の立体構造が壊れ、その機能も失われてしまうため取り扱いは困難だ。そのため、乾燥状態にも耐えられる強さと高度な機能を備えたナノ・マイクロマシンとして複数のタンパク質を「部品」にして組み立てることは困難だった。

活性酸素量を大幅に減らす「タンパク質マイクロマシン」を開発

今回、同研究グループが開発した『タンパク質マイクロマシン』の本体部分は、活性酸素を除去するタンパク質の「スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)」と、さまざまな薬剤と結合するタンパク質の「血清アルブミン」で構成されており、また、表面部分には、標的となる細胞を捕捉するタンパク質の「抗体」が組み込まれている。

活性酸素は、体内の細胞を酸化させて老化や様々な病気を引き起こす原因になるとされている。

同マシンでは、マシン表面部分に組み込まれた「抗体」の働きによって、活性酸素を分泌する細胞を良好に捕捉し、本体内部のSODが捕捉した細胞から分泌される過剰な活性酸素を除去するのに有効に働き、さらに、本体に結合した抗炎症薬を放出することで、細胞の活性酸素の生成を抑制することが可能だという。

マイクロマシンに捕捉された細胞から周囲に分泌された活性酸素の量を測定した結果では、マイクロマシンに捕捉されていない状態の細胞と比較して、検出された活性酸素の量は70%減少していることも分かったという。

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性疾患の治療に期待

同研究グループでは、本体部分のアルブミンにジアポシニンを結合した『薬剤結合マイクロマシン』を、容器内で活性酸素を分泌する細胞と共存させた実験では、細胞から分泌する活性酸素量が大きく減少していることも確認。

一方で、ジアポシニンを結合させなかったマイクロマシンでは、検出された活性酸素量に大きな変化が見られなかったことから、『薬剤結合マイクロマシン』では、薬剤を周囲に放出して、捕捉せずとも付近にある細胞の活性酸素の生成を抑制できることが明らかになった。

今後は、炎症性サイトカインに結合する「抗体」などを組み込み、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性疾患の治療に役立つタンパク質マイクロマシンを開発する方針。また、今回開発した作製手法をバイオセンサー、ウェアラブルデバイスなどのデバイス開発にも応用するとしている。

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