がんが治療抵抗性を持つようになるメカニズムを発見

最終更新日:2018年8月15日

Select Language >>

0120-978-003
月~土 9時~18時 / 夜間・日・祝は受付のみ
臨床工学技士コラム

がんが治療抵抗性を持つようになるメカニズムを発見

2017.04.17

肝がんをはじめ多くのがん治療の場面に使用されている『抗血管新生療法』。がんの転移を誘発する血管新生のプロセスを標的にした分子標的治療で、細胞への血液の供給を絶つことでがん細胞を縮小させる治療法だ。

しかし、治療初期には有効であっても、繰り返し治療を続ける中で、がんが「治療抵抗性」を獲得するため、がんの再発や進行が見られることがこの治療における問題となっている。

東京医科歯科大学では3月1日、田中真二氏(同大大学院医歯学総合研究科分子腫瘍医学分野教授)、島田周氏(同助教)、秋山好光氏(同講師)、大畠慶映氏(同大学院生)の研究グループが、肝がん(肝細胞がん)における生体内での抗血管新生剤に対する耐性株を作成し、がんが治療抵抗性を獲得する分子レベルでのメカニズムを世界で初めて発見したと発表した。

同研究成果は、2月28日付けの「Molecular Cancer Therapeutics」(電子版)に掲載されている。

生体内で肝がん薬剤耐性株の作成に成功

肝がん(肝細胞がん)は、肝臓の慢性的な疾患(C型(B型)肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝など)が原因で発症するケースがほとんどだ。近年、その治療として抗血管新生療法が用いられるが、がんが「治療抵抗性」を持つようになることが問題だった。

今回同研究グループでは、免疫不全マウスにヒト肝がん細胞を皮下移植し、そのマウスに抗血管新生剤を投与し継代する手法によって、薬剤耐性株を作り出すことに成功

作製した薬剤耐性株の解析結果から、生体内で肝がん細胞が治療抵抗性を獲得していくメカニズムを分子レベルで解明した。

肝がんの治療抵抗性でのがん細胞遺伝子のエピゲノム変化を発見

さらに同研究グループは、抗血管新生剤を用いて長期的な治療を行うことにより、生体内におけるがん細胞遺伝子のエピゲノム変化(プロモーター領域におけるDNA脱メチル化およびヒストン活性化修飾)が起こっていることを確認。これにより、薬剤耐性化が起きることが分かったという。

さらに、がん幹細胞化に関与した遺伝子発現『thymosin beta 4(Tβ4)』も誘導されており、それによる治療抵抗性の獲得も示唆されたとしている。

薬剤耐性化を克服する新たな治療法開発に期待

実際の肝がん患者では、遺伝子発現『Tβ4』が陽性の症例において、抗血管新生剤が効きにくいことが分かったため、『Tβ4』は感受性バイオマーカーにもなるという。

今回の研究結果として、臨床の治療に近いケースを想定して、長期間における反復薬剤投与によって抗血管新生治療耐性の肝がんモデル化に成功。また、生体内のがん細胞遺伝子のエピゲノム変化による薬剤耐性の獲得についても証明した。がんの治療抵抗性のメカニズムを解明する発見といえる。

これにより、今後はがん細胞遺伝子のエピゲノム変化の制御による薬剤耐性化阻止などの新しい治療法の開発も期待される。

■メドフィットが納得の転職を実現します!
⇒臨床工学技士の求人一覧

関連コラム