『バイオ3Dプリンター』による神経再生技術を開発

最終更新日:2018年2月25日

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臨床工学技士コラム

『バイオ3Dプリンター』による神経再生技術を開発

2017.04.11

神経麻痺や筋力低下のほか、損傷の程度や部位によって様々な症状が現れる「末梢神経損傷」

現在その治療では、患者自身の下腿などの神経の一部の移植(自家神経移植)が主流になっている。

しかし、この方法は健常な神経の一部を摘出することで採取部位周囲の感覚神経麻痺や異常知覚を誘発するケースもあるため、ベストの治療方法とはいえないことが課題だった。

そこで人工材料を用いる『人工神経』の開発も行われているものの、自家神経移植と比べると治療成績が下がるために一般的には普及してこなかった。

京都大学では2月27日、松田秀一氏(同大医学部附属病院整形外科教授)、池口良輔氏(同リハビリテーション科准教授)、青山朋樹氏(同大医学研究科人間健康科学系専攻准教授)、中山功一氏(佐賀大学医学部臓器再生医工学講座教授)らと株式会社サイフューズ(本社:東京都文京区、川野隆清社長)の共同研究グループが、この末梢神経損傷の新治療法として、『バイオ3Dプリンター』を活用した神経再生技術の開発に世界で初めて成功したと発表した。

同研究成果は2月13日付けの「PLOS ONE」(電子版)に掲載されている。

神経再生技術における人工神経の開発が進まず

これまで神経再生技術における人工神経は、自家神経移植と比較した場合に良好な治療結果は得られていない。

その理由としては、人工神経には細胞成分が乏しいために、再生軸索誘導に必要となる「サイトカイン」などの環境因子が不足していることが挙げられている。

また、人工神経と増殖因子や血管移植、細胞移植などを組み合わせた『ハイブリッド治療』も考案されてきていたが、良好な結果を得る治療法は開発されてこなかった。

神経軸索が伸びやすい導管構造を作製、神経再生が促進

今回、サイフューズ社では、細胞の分離後にみられる凝集現象を利用して、剣山に細胞凝集塊を積層し、還流装置を用いて細胞を熟成させる技術を開発。これにより、細胞のみの三次元構造体を自在に作製可能な『バイオ3Dプリンター(Regenova)』を開発した。

同社は共同研究グループのメンバーの中山氏の研究成果(生きた細胞の立体的積層の独自技術)の実用化を目指すために2010年に創業された再生医療ベンチャーだ。

過去の実績としても、すでにRegenovaを用いて軟骨組織や血管組織などの作製を行ってきている。今回は、それらの技術を利用して再生神経軸索を誘導する『バイオ三次元神経再生導管』の構造を作製するのに成功したという。

実用化に向けて医師主導治験を3年後には開始予定

このRegenovaを用いて細胞のみで作製した『バイオ三次元神経再生導管』を坐骨神経損傷モデルラットに移植した結果、人工神経よりも良好で自家神経移植と比較しても遜色ない治療成績を得ることができたという。

これによって、線維芽細胞から作製した『バイオ神経三次元再生導管』から放出されるサイトカインや血管新生が要因になって、良好な再生軸索の誘導を得ることができたと考えられるという。

同共同研究グループでは今後、この『バイオ3Dプリンター』の実用化に向けて非臨床POC取得及び非臨床安全性試験をクリアした後に、3年後にを目安に医師主導による治験を開始する予定としている。

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