プロジェクションマッピングを活用したロボット顕微鏡を開発

最終更新日:2018年12月11日

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臨床工学技士コラム

プロジェクションマッピングを活用したロボット顕微鏡を開発

2016.07.05

物体≪リアル≫に映像≪バーチャル≫を照らし合わせて映し出す映像技術であるプロジェクションマッピング(PM)。このPMを活用して特定の細胞を観察できるロボット顕微鏡「オーサカベン(OSACaBeN)」を大阪大学らの研究チームが開発したことが、5月19日付けの自然科学系電子ジャーナル「Scientific Reports」に掲載された。

同研究グループでは開発した「オーサカベン」を使い、線虫の一種であるC.エレガンス(体長約1ミリ)の脳を観察し、脳内の複数のドーパミン細胞の性質の違いを明らかに出来たとしている。

ロボット顕微鏡「オーサカベン」

PMは芸術やイベント時のイルミネーションなどと一緒に利用されており、コンピューターグラフィックス(CG)の立体映像を建物や動体などに投影するもので、狙った場所に正確に光を当てられる特長がある。今回、脳の機能を詳しく調べる装置の機能としてこの特長を取り入れ、動き回る微小な生物を高速で自動追跡する技術と組み合わせて、その脳内の様子と行動を同時に観察できるようにしたものが「オーサカベン」(Optogenetic Stimulation Associated with Calcium imaging for Behaving Nematode: OSACaBeN)だ。

オーサカベンでは、PMに使う発光装置の光を利用して、200分の1秒単位で自動追跡しながら、水平面上を自由に動き回る微小な生物の脳を細胞レベルの精密さで刺激し、行動を観察する。生物を載せた台座は、生物の動きに合わせて移動するため、生物が常にレンズの真下に来るように設計されている。複数の神経活動の一つずつをPMによって刺激することも出来る。

線虫「C.エレガンス」の脳神経細胞と行動を観察

今回、同研究グループが観察したC.エレガンスは大腸菌をエサとしており、エサに移動した際の物理的な圧力によってドーパミン細胞が活発化すると考えられていたが、実際にその圧力を感じているのか、また脳内に4カ所あるドーパミン細胞がそれぞれどのような役割を果たしているのかは不明だった。

そこで「オーサカベン」でC.エレガンスのドーパミン細胞の神経活動を計測したところ、エサを見つけた際に1カ所のドーパミン細胞だけが強く持続的に応答することが分かった。また、このドーパミン細胞にPMの光で刺激を与えると、C.エレガンスはエサがないにもかかわらず、エサを見つけたかのようにエサに移動した時と同じような行動をとった。

様々な小型動物の脳活動と行動の関係性を解明

今回の研究で特定されたドーパミン細胞は、他のドーパミン細胞とも構造的によく似ているため、ドーパミン細胞ごとに性質の違いがあることは予想されていなかったという。「オーサカベン」による観察でドーパミン細胞の性質の違いを明らかにする結果になった。

同研究グループでは、「オーサカベン」による観察は様々な小型動物において可能であるため、それらの脳活動と行動を観察することで「脳活動と行動の関係性」のメカニズム解明が期待できるとしている。

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