子ども向けの心臓シートの治験開始、大阪大病院

最終更新日:2018年10月24日

Select Language >>

0120-978-003
月~土 9時~18時 / 夜間・日・祝は受付のみ
臨床工学技士コラム

子ども向けの心臓シートの治験開始、大阪大病院

2016.06.14

大阪大病院は4月5日、重い心臓病の治療に用いられる再生医療製品「ハートシート」を使って、拡張型心筋症の子どもを対象とした臨床試験(治験)を開始したと発表した。

この「ハートシート」は、医療機器メーカーのテルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、新宅祐太郎社長)が昨年9月に再生医療等製品として製造販売承認を取得している。患者の大腿部の筋肉から採取した細胞を培養し、直径5センチの極薄の細胞シート状にして心臓表面に移植することで、重症心不全などの心機能の改善を促す。自家細胞のため、拒絶反応がなく、心臓病を患った子どもの症状の重症化を防止することが期待できる。

再生医療製品「ハートシート」の用途拡大へ

国内における再生医療の推進の中で、2014年11月に「医薬品医療機器法」(改正薬事法)と「再生医療等安全性確保法(再生医療新法)」が施行されて、臨床研究における安全性確保や自由診療のルールなどについての基準も設けられ、無届けによる再生医療の自由診療は行うことが出来なくなっていた。

一方で昨年9月、厚生労働省では医薬品医療機器法において新たに導入した再生医療製品の早期承認制度の第1号として、心筋梗塞などによる大人の重い心臓病を対象という条件付きで、このハートシートを承認していた。この早期承認制度を活用することで、従来では5~8年かかる治験から承認までの期間が3年半に縮まるという。

今回の治験では、ハートシートの用途を子どもの拡張型心筋症にも拡大するのが目的で、症状が重症化していない18歳以下の患者3人を対象にして、ふくらはぎから摂取した細胞からハートシートを作り、安全性や治療効果などを今後3年がかりで検証していく予定だ。その1例目の治療は今年夏頃に予定されており、2020年を目途に承認を目指すという。

子どもの重い心臓病「拡張型心筋症」

拡張型心筋症では、心臓が筋肉の機能低下によって膨れ、心不全を引き起こす進行性の疾患。はっきりとした原因はわかっていない難病で、初期段階では薬による治療も効果を示すが、重症化すると現在では心臓移植するしか根本的な治療法が見つかっていない。大阪大病院によると、国内では毎年約50人の子どもの末期患者が出て心臓の移植が必要になるという。しかし、国内における臓器提供の件数には限りがあり、末期の患者すべてに移植治療を行うことは困難なため海外で手術を受ける場合も多い。

子どもの心臓病の治療法の確立へ

そのため、今回のような細胞移植や遺伝子治療などによる新しい治療法の早期開発が望まれていた。今回の研究メンバーである澤芳樹氏(大阪大・心臓血管外科教授)によれば、ハートシートによって新しい治療法を確立させることで子どもの心臓病の症状の重篤化を防ぐ有効な治療法になるとしている。また今回の治験では、現在では成人に限られているハートシートを用いた保険診療の対象を、18歳以下にも拡大することも目指すとしている。

■メドフィットが納得の転職を実現します!
⇒臨床工学技士の求人一覧

関連コラム