臨床工学技士ニュース:日本の透析医療、世界へ。

最終更新日:2018年4月25日

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臨床工学技士コラム

臨床工学技士ニュース:日本の透析医療、世界へ。

2016.01.21

臨床工学技士の職分に血液透析がある。
日本人は悪性新生物や糖尿病や腎疾患などから透析を利用する患者が年々増加しており、透析専門のクリニックの施設数も少なくない。
臨床工学技士の多くがそうした専門施設に所属し、患者のケアにあたっているのだ。
昭和56年度以降、日本人の死因第一位は依然として悪性新生物が独占している状況であり、例え将来日本の人口減少が顕著になったとしても、透析医療の重要性が失われることはないだろう。

実際に日本の透析医療は世界のトップレベルに到達している。
日本医療機器産業連合会が2015年11月16日に開催したメディアセミナーでは、日本の血液医療を支える医療機器について海外からも篤い関心が寄せられた。
特にアジアのタイでは日本の技術を学ぼうという意欲が高く、日本の医療産業の拠点である東九州メディカルバレー構想特区と盛んに人的交流を図るなどして、日本を先例にした医療改革を計画中だ。

臨床工学技士の不在

日本の医療業界では臨床工学技士はごく常識的な職種と言っていい。
しかし、世界の国々を見渡してみると、専門職として臨床工学技士という概念すら存在しない国が存在する。 タイもまた、臨床工学技士が存在しない国のひとつだ。
高度に進化した医療機器を採用した病院が建設されたとしても、それを運用する人的資源が不足しているのである。

医療技術、知識、機器、機器の運用技術及び専門知識。
これらの充足において、今現在日本を上回る国はそう多くない。
日本の知恵と技術を結集した東九州メディカルバレー構想特区こそが、アジアの医療を牽引する先進地区になると考えていいだろう。
未だに臨床工学技士と言う職分が存在しないタイでも血液透析を必要とする患者数は急激に伸びており、1996年に45施設だった透析施設が2012年には約12倍の533施設に増加した。
機器の先進化と共に血液透析や機器取扱いについてはより高度な知識と技術が求められるようになっており、タイへの技術知識の輸出が急がれる。

日本の血液透析はどこまでできるのか

日本の血液透析技術は世界のトップレベルである。では、その日本の血液透析でどこまでできるのだろうか。

自力で血液を濾過できなくなった患者に対して、腎臓の機能を補填するために行う医療行為が血液透析だ。しかし、透析機器では人体に備わっている生来の内臓機能を完璧に代償することはできない。
血液透析を受けるようになった患者の最終的な致死率も高いままだ。
しかし、血液透析に関連して考案された「LDL吸着療法」という透析療法の手法が、2015年4月に先進医療として認められた。
悪化した糖尿病患者や、腎臓病患者の人工透析導入を遅らせ、生存の機会を増やすことを目的としているのだという。

LDL吸着療法では病気の原因物質や悪化要因となる物質を血液中から取り除く。
血管に管を挿入して血液を体外循環させるという人工透析そのものに準じた行為ではあるが、吸着し濾過する物質の種類が異なる。
LDL吸着療法によって巣状糸球体硬化症などの硬化が改善する可能性が明らかになっており、「巣状糸球体硬化症」「閉塞性動脈硬化症」「家族性高コレステロール血症」の3つの病名においては保険適用内となった。

透析医療では人工透析そのものだけでなく、透析導入のタイミングを延長する予防的な療法についても研究の労を惜しまない。
透析専従の臨床工学技士が在籍する施設は少ないためにLDL吸着療法を実施している病院は多くはないが、東九州メディカルバレー構想特区から世界に日本の工学技術と知識、そして「臨床工学技師」の必要性が浸透すれば、世界的に日本の臨床工学技士が活躍する場が広がるだろう。

透析医療の可能性を一般レベルに周知することができれば、患者側からの求めに医療業界も応じざるを得なくなる。
糖尿病や腎疾患に苦しむ患者やその家族に向けて、メディカルスタッフの一人一人が知られざる療法に関する情報を積極的に提供して行くことを勧める。医療人の就業の機会拡大にもつながるかもしれない。

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