熱帯感染症の特効薬開発でノーベル医学・生理学賞受賞

最終更新日:2018年4月25日

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臨床工学技士コラム

熱帯感染症の特効薬開発でノーベル医学・生理学賞受賞

2015.11.26

2015年のノーベル賞の発表が10月5日から行われているが、日本人の快挙が続いている。 「医学・生理学賞」に大村智・北里大学特別栄誉教授、「物理学賞」に梶田隆章・東京大学宇宙線研究所所長がそれぞれ選ばれた。
日本人のノーベル賞受賞は2年連続となる。 「医学・生理学賞」での日本人の受賞は、2012年の山中伸弥・京都大学教授以来3人目だ。
アフリカや中南米など途上国で年間3億人に投与され、寄生虫が引き起こす熱帯感染症「オンコセルカ症(河川盲目症)」による失明危機から多くの人を救う特効薬「イベルメクチン」の開発につながった大村氏の微生物研究の成果が高く評価された。
「自然界の微生物の力を何とか引き出そうとした」という大村氏は、これまでの研究期間でその独創性の高さと積極的な産学連携によって、新しい化学物質を見つけるたびに抗生物質の開発研究を続けてきたことが今回の受賞につながった。

独創性に強いこだわり

大村氏は、一貫して独創性(オリジナリティー)にこだわり、北里研究所に研究室を持った1973年から動物用医薬品の開発を目指し、本格的に自然界に存在する抗生物質を探し始めた。
当時、動物医薬品はほとんどなく、人用の医薬品の使い古しだったことに着目した。
1975年には静岡県内で採取した土から新種の放線菌を発見し、寄生虫などを麻痺・発育阻止させるマクロライド系抗生物質「エバーメクチン」を発見
その後、この化学構造を改良し、アメリカの製薬会社大手・メルク社が家畜の寄生虫駆逐剤「イベルメクチン」を開発した。
「エバーメクチン」の発見の原点は、ペニシリン、ストレプトマイシンなどが主流になっていた抗生物質の研究において傍流だった「マクロライド」の研究を選択したことだ。 「(マクロライドには)副作用が少なく、多くの機能があるはず」と推測し、「オリジナリティーを追求するのが科学」という信念で研究を継続してきた。

産学連携にも積極的に取り組み

大村氏らが発見した化学物質から26種類が医薬品や農薬などが開発された。 これを支えたのは製薬企業などとの積極的な「産学連携」だ。
日本における産学連携の本格化は1990年代後半からと言われており、大村氏は時代を20年以上も先取りした草分け的存在だ。
アメリカ留学中に当時の日本にはなかった研究姿勢を学んだ大村氏は「米国レベルの仕事をするには企業からの投資が必要」と考え、帰国前に、北里研究所のスクリーニングや化学物質研究に対して、メルク社から年間8万ドルに及ぶ研究資金の提供を3年間受ける契約を結んだ。 その際に、医薬品開発・販売はメルク社が独占的に担い、特許は共有し、特許料が入れば研究室の人件費や設備投資に回す仕組みも作った。
大村氏は、当時を「(北里研究所は)国から研究費をもらう国立大学の研究室とは違ったが、研究成果を社会に還元しようという気持ちが強かった。」と振り返る。 また、研究室の計画は自分たちで決め、いくら資本金は企業にあっても、研究開発においては、その下請けにはならなかったという。

「人のためになりたい」気持ち強く

大村氏は受賞の喜びを「人のためになりたいという気持ちは人一倍強く、それが結果となった」と語った
大村氏の研究によって治療薬が開発された熱帯病「オンコセルカ症(河川盲目症)」はアフリカや中南米などの風土病になっており、感染すると最悪の場合は失明に及ぶ感染症だ。
アフリカのガーナで出会った感染により失明した患者との思い出では、治療薬によって子どもに病気が感染することがなくなったのを喜んでいた患者がいたことを振り返った。

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