脳に電極を埋め込む「パーキンソン病」治療

最終更新日:2018年12月11日

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臨床工学技士コラム

脳に電極を埋め込む「パーキンソン病」治療

2014.08.20

スイスのベルン大学病院で行われている研究の中で、世界中から注目されている研究のひとつが 「脳内に電極を埋め込む脳深部刺激療法(DBS)」である。

DBSは脳内に電極を埋め込み、神経活動を調整することによって脳神経の疾患を治療する手術だ。
今回ニュースとなったのは、電極を小型化することで制御しやすくなり、電流の量を抑えて副作用が減少することが臨床試験で証明されたこと。 この臨床試験結果が神経学の学術誌ブレインに掲載されたので、すでに目を通した臨床工学技士の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

脳深部刺激療法(DBS)とは

脳深部刺激療法(DBS)は心臓ペースメーカーに似た植え込み装置を用い、継続的に脳深部に電気刺激を与えることで症状の改善を測る治療法である。

脳外科の手術の中では比較的侵襲が少ない手術で、大部分は局所麻酔によって行われる。
痛みはほとんどなく、この間患者には意識があり、医師と患者で話しながら刺激の効果を確認しつつ手術をすすめていく。

1970年代末から痛みの治療法として研究され、意思と関係なく四肢が震えるような不随意運動を抑える効果もあるとして、パーキンソン病にも90年代から導入され始めた。日本では2000年から保険適用が認められている。

一般的に薬物療法での改善が見られなかった例を対象として、パーキンソン病・ジストニア等の不随意運動やてんかん、重度の鬱病、強迫性障害、遷延性意識障害といった、 脳に関する様々な疾患の治療として用いられている。

使用される装置の概要

脳深部刺激療法(DBS)は、次の3つの植え込み型装置で構成されている。

電極(リード)
脳内部に挿入し、先端の4つの電極で、脳深部の機能異常を生じている神経核や線維に対し、信号を送り込むことで神経回路の働きを調節する。

延長導線(エクステンション)
電極と刺激発生器を繋げるもので、刺激発生器で作った電気刺激を電極へ伝える役目を果たしている。

刺激発生器(パルス発生器)
心臓ペースメーカーに似た小型装置に電気回路と電池が内蔵されており、治療用の電気刺激を発生し、電極から脳に送る装置。
刺激発生器は通常、胸部の鎖骨した付近の皮下に植え込まれ、「脳のペースメーカー」と呼ばれる事もある。

患者用携帯型のプログラマーを使い刺激発生器のON/OFFの切り替えや、電池残量の確認などが行えるようになっている。

小型化に成功した刺激電極

脳神経外科のクラウディオ・ポロ医師のチームはこの脳深部刺激療法(DBS)の技術向上に取り組み、電極を小型化する事に成功した。

従来の技術では、標的とする部位以外も刺激してしまう可能性があった。
そのため、筋肉の不随意運動や言語障害、筋力低下、知覚異常などの副作用が生じる事が懸念され、電流を十分に送る事が出来ないでいた。

ポロ医師のチームは電極のサイズを縮小し、脳の深部の極小部分を刺激する事に成功。
これにより電流の方向制御が向上し、効果があがった。

小型化により、従来の技術では手の付けられなかった部位であっても、これからは調べる事が可能となると期待されている。

今後の課題となる問題

臨床工学技士の方であればペースメーカーでも馴染みがあると思いますが、刺激装置は超小型の精密コンピューターのようなものです。
そのため、外部からの強力な電気や磁気により誤作動をおこす可能性が指摘されている。

日常生活において、電気調理器や大型ステレオスピーカーなどの電気製品は使用しない、近づかないといった注意が必要となる。
携帯電話を使用する際も、安全のため刺激装置から22㎝以上離して使用する事を推奨している医療機関もある。

また、MRIや電気メス、放射線照射治療など一部の治療においては機器に影響を与える可能性があるため、必ず医師へ自己申告が必要となる。
脳深部刺激療法(DBS)を受けている人は、このように電波の発信源に近づかないなど念頭においておき、自衛する必要がでてくるのだ。

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