アボカド由来の脂肪酸『avocatin B』、高齢者の抗がん剤効果を高める

最終更新日:2019年6月26日

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介護職コラム

アボカド由来の脂肪酸『avocatin B』、高齢者の抗がん剤効果を高める

2019.01.07

順天堂大学は11月21日、田部陽子氏(同大大学院医学研究科臨床病態検査医学特任教授)と、マリナ・コノプレバ氏(米国MDアンダーソンがんセンター教授)、ポール・スパヌオロ氏(カナダ・ゲルフ大学博士)らとの共同研究によって、アボカドの抽出成分である脂肪酸『avocatin B』が、白血病がん細胞の脂肪酸代謝を阻害することでがん細胞の増殖抑制をすること、また、白血病化学療法薬(抗がん剤)と併用することで抗がん効果を高めることが明らかになったと発表した。

同研究成果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」(電子版)にて公開された。

高齢患者にも適用できる副作用の少ない「新しいがん治療の実現」が課題

がん(白血病を含む)は高齢者に多くみられる疾患である一方で、高齢の患者への治療の選択肢や抗がん剤投与量には制限がかけられるため、十分な治療効果を得ることが困難なケースが多々ある。

超高齢社会の国内において、高齢の患者にも適用できるような、かつ副作用の少ない新しいがん治療を実現することは喫緊の課題になっている。

細胞の脂肪酸代謝を阻害し、生体への副作用が少ない『avocatin B』

白血病がん細胞は、骨髄微小環境の中での増殖や、抗がん剤に対する抵抗性獲得といった動きがみられる。

同研究グループでは、これまでに、白血病がん細胞が骨髄脂肪細胞(加齢に伴って増加)と相互作用することによって、脂肪酸代謝を亢進させること、また、骨髄内で独自のエネルギー代謝を行って、抗がん剤への耐性を獲得することを突き止めていた。

一方、近年発見されたアボカド由来成分の奇数炭素脂肪酸である『avocatin B』は、偶数炭素脂肪酸と比較して、酸化効率が低く、競合作用によって細胞の脂肪酸代謝を阻害し、生体に副作用が極めて少ない物質であるとされていた。

『avocatin B』が、新しい白血病治療薬となり得る可能性を検証

高齢者の骨髄の中には、がん細胞のエネルギー源ともなる脂肪酸が豊富に存在している。

同研究グループは、細胞の脂肪酸代謝を阻害する『avocatin B』が、がん細胞のエネルギー代謝の阻害剤になり得ると推測し、新しい白血病治療薬となり得る可能性を検証した。

『avocatin B』の白血病がん細胞の代謝への影響と抗がん効果(抗腫瘍効果)について調べた結果、まず、単独培養状態の急性骨髄性白血病がん細胞の細胞死誘導や細胞増殖を阻害することを確認。

次に、骨髄脂肪細胞と白血病がん細胞を共培養した状態(骨髄微小環境下を再現)を比較すると、白血病がん細胞に対する阻害効果はいずれも減弱していた。

この共培養状態では、avocatin B投与後は白血病がん細胞の脂肪酸代謝が阻害されたが、遊離脂肪酸や糖の取り込みが増強することで、解糖系代謝が高まることも分かった。

『avocatin B』は、「高齢者のがん代謝制御治療」につながる

今回の研究成果から、骨髄微小環境における白血病がん細胞は、脂肪酸代謝阻害に対して様々な適応機構を作動させることによって、バイパスとなる代謝経路を活性化させ、生き残っていくことが判明した。(抗がん剤を単独で用いた場合には、同様のがんの薬剤耐性機構がみられる。)

一方で、脂肪酸代謝阻害剤として『avocatin B』を抗がん剤と組み合わせることで、相乗的な抗がん効果を発揮することが明らかになった。

『avocatin B』の脂肪酸の代謝制御が、従来の化学療法薬の併用療法として、白血病領域にとどまらず、「高齢者のがん代謝制御治療」に活用できる可能性があることを示すものだ。

脂肪酸代謝は、がん微小環境で生き残るがん細胞が依存するケースがあるため、あらゆる年齢層でのがんの再発予防治療薬としての効果も十分に期待できる。

同研グループでは、今後はモデル動物などを用いて、脂肪酸の代謝制御による生体内での抗がん効果を検証していくとしている。

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