アルツハイマー病患者、脳内の『タウの蓄積』が意欲低下の原因に

最終更新日:2018年7月21日

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介護職コラム

アルツハイマー病患者、脳内の『タウの蓄積』が意欲低下の原因に

2018.07.11

量子科学技術研究開発機構は6月8日、島田斉(量研放射線医学総合研究所脳機能イメージング研究部主幹研究員)と北村聡一郎氏(協力研究員、同研究部元博士研究員)、桑原聡氏(千葉大学大学院医学研究院・神経内科学教授)らの共同研究によって、アルツハイマー病患者に意欲低下が生じる原因として、脳内の『タウの蓄積』があることを解明したと発表した。 同研究成果は、英科学誌「Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry」(電子版)に掲載されている。

生体脳での病理変化の解明が必要なアルツハイマー病やMCI

認知症の中で最も多く、全体の約5割を占めるアルツハイマー病(AD)や、認知症の前段階とも言われる軽度認知機能障害(MCI)では、「意欲低下」の症状がある。 この意欲低下は、社会的孤立・運動量の減少を招いてしまい、それによる「心身機能の低下」、さらには病状の悪化を引き起こすなど、介護負担の増大リスクを潜んでいるため、意欲低下に対する十分な治療を行う必要がある。 しかし、これまでの研究では、主に死後脳を用いたもので、その原因となる病理変化を明らかにする必要のある生体脳での研究は行えていない

AD患者の『タウ蓄積』が多い部位を調査、「眼窩前頭皮質」に多く

今回、共同研究グループでは、MCIを含む比較的早期のAD患者で、意欲低下が強い患者10名と、意欲低下が弱い患者7名を対象に、『タウ蓄積』が多い部位を調べた。 タウタンパク質は、AD患者の脳内での蓄積が見られる特徴的なタンパク質で、アルツハイマー病の原因とも言われる。 生体におけるタウの可視化には、量研が開発したPET薬剤「11C-PBB3」を活用。 その結果、意欲低下が重度なAD患者は、「眼窩前頭皮質」にタウが多く蓄積していた。

意欲低下の治療・予防の実現に期待

同部位における「神経細胞死」と、同部位と他の脳領域を結ぶ「線維障害の重症度」をMRI評価し、意欲低下の重症度との関連を調査したところ、同部位でのタウ蓄積が多くなるほど「神経細胞死」は重度となり、神経細胞死が重度なほど線維の障害が強くなっていた。 これは、意欲低下の重症度と「タウ蓄積」の多さと「線維の障害」の強さの相関を示すものだ。 同研究グループでは、今回の研究成果は、アルツハイマー病における意欲低下の脳内メカニズムの解明に寄与することが期待されるという。 また、脳内の『タウ病変』を標的とした新たな治療戦略を立てることにより、認知機能障害や意欲低下の治療・予防の実現につながるとしている。

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