iPS細胞でアルツハイマー型認知症の治療薬候補を発見

最終更新日:2018年4月20日

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介護職コラム

iPS細胞でアルツハイマー型認知症の治療薬候補を発見

2018.01.12

再生医療として注目される「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」。このiPS細胞を活用して、薬の候補を探す「創薬」の将来性は期待されており、これまでにも、白血病の抗がん剤の筋萎縮性側索硬化症(ALS)への効果や免疫抑制剤の筋肉に骨ができる難病への効果などが確認され、患者が服用して効果などを確認する治験を進んでいる。

また、超高齢化社会に突入した国内において、認知症で最も多いてアルツハイマー病型認知症患者の細胞からiPS細胞を作製し、認知症治療薬としての創薬にiPS細胞を応用する新たな試みも進んでいる。

京都大iPS細胞研究所の近藤孝之氏(同研究所特定拠点助教)、井上治久氏(幹細胞医学教授)らの研究グループが、アルツハイマー病型認知症患者の細胞からiPS細胞を作製した実験で、アルツハイマー型認知症の患者の脳に蓄積し、発症の原因物質とされる特定のタンパク質「アミロイドβ(ベータ)」を、同時に使うことで、3割以上減らす既存の薬3種の組み合わせを発見したことを発表した。 

論文は11月21日付けの米科学誌「セル・リポーツ」(電子版)に掲載された。

iPS細胞で「アルツハイマー型認知症」を再現、効果のある既存薬を探求

脳の神経細胞でタンパク質「アミロイドβ」が作られ、脳内に過剰に蓄積することが主な原因とされるアルツハイマー型認知症では、対処療法として症状を緩和する薬はあるものの、蓄積を抑えれば、治療につながると期待されるアミロイドβそのものを減らす薬は研究段階で、実用化されていない。

このアルツハイマー型認知症では、脳が萎縮し、日時・場所が分からなくなるなどの障害が起こるのが特徴で、認知症のうちの5割以上を占めており、国内の患者数は数百万人と推定されている。

今回、研究グループでは、患者の皮膚と血液から作ったiPS細胞を大脳神経細胞(大脳皮質の神経細胞)に変え、病気の状態を再現

この手法で作った患者9人(遺伝性アルツハイマー病患者5人・遺伝性でない患者4人)と健常者4人の大脳皮質の神経細胞を使い、1258種類の既存薬からアミロイドβを減らす効果がある薬を探した

「ブロモクリプチン」「クロモリン」「トピラマート」の3種の併用で効果

実験結果では、パーキンソン病などの薬「プロモクリプチン」とぜんそく薬「クロモリン」、てんかん薬「トピラマート」の3種の併用で、遺伝性患者は健常者と比較してアミロイドβ量が3~4割程度まで、遺伝性でない患者は6割程度まで減った

これらの3種はいずれの薬も既存薬だが、どのような仕組みで効果が表れたかは不明で、患者での有効性や投与量はまだ分からないため、同研究グループでは、アルツハイマー病の薬として使うには今後、動物実験や臨床研究が必要になるものの、予防薬や治療薬になる可能性があるとしている。

アルツハイマー型認知症の治療・予防への活用に期待

同研究グループによると、アルツハイマー病の薬は長期間飲む必要があるが、「アミロイドβ」の量が4割減少すれば、発症や症状の進行が止まることが期待できるとしており、アルツハイマー型認知症の発症前から服用することでアミロイドβが作られるのを抑えれば、発症を予防できるとしている。

今後は、今回候補に上がった既に使われている薬による効果・安全性(組み合わせた場合の副作用なども含めて)の確認などの臨床試験を視野に入れた研究が進められる方針で、長期間でも安全に投与できる薬の量などを調べることで治療薬開発を進展することが期待される。

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